CEマーキングに関する誤認識
知らない人は「認証」と思う。
少し知っている人は「自己宣言」と言う。
もっと知っている人は、第三者の関与が求められる場合に、他に適当な言葉もなく“認証”と呼ぶことを知っている。
単なる翻訳ではなく、何が規定されているかを読めば・・・
CEマーキング認証とは?
CEマーキングはメーカー自らが製品の適合を宣言する制度です。製品が適合していることを確認し、適合を宣言します。許認可制度ではありません。
『じゃぁ、勝手にCEマーキング適合宣言できるじゃないか、勝手にしていいの?!』と思うかもしれませんが、その通りです。勝手にしてよいのです、間違っていません。自由に市場に参加することが可能です。ただし責任が伴います。指令・規則にはメーカーの責務が規定されています。
CEマーキングの適合宣言は、単独責任において(sole responsibility)という文言を含めることが求められています。そのままの意味です。あれやこれや全部ひっくるめて、適合の宣言はメーカー(宣言者)の単独責任だということです。認証されていれば免責があるとか、何らかの便益があるとか、何もありません。
CEマーキング”認証”についての簡単な理解
本当はいろいろ細かい規定がありますが、それはご自身でご確認いただくものとして、簡単な理解としては下表のようになります。
簡単な理解のための一覧表
内部生産管理
(モジュール A )
認証
(モジュール B~H )
製品の適合確認
メーカー自身
ノーティファイドボディ
低電圧指令、RoHS指令は、内部生産管理(モジュール A )のみです。ノーティファイドボディの関与は規定されていません。
他の指令・規則では、その中での分類により、モジュールを適用または任意で選択します。
EMC指令については第14条で、モジュール A かモジュール B-C かを任意に選ぶことができます。しかも、評価の一部はモジュール B-C で、他はモジュールAでというように、かなり自由度の高い選択が可能です。
指令・規則によっては、モジュール A を選択できないものもあります。
モジュール B~H は、リスクの高い製品に対してノーティファイドボディの関与を定めています。殆どの製品がモジュール A を選択、適用されます。
CEマーキングは認証か自己宣言か
ここまで読みすすめられた方は、認証か自己宣言かというような問いは、該当する指令・規則、その中での分類次第であり、任意に選択できる場合もあれば選択の余地がない場合もある、と理解されたと思います。
つまり、一概には言えないことであって、設問自体がおかしことに気付かれたのではないでしょうか。でもCEマーキングに携わって最初のうちは仕方ありません。混乱するのも当然です。最初から全部わかっている人などいません。少しずつ理解を深めていきましょう。
大事なことは、指令・規則をよく読むことです。適合宣言書では「○○指令に適合」と記述するのですから、その指令を承知していないわけにはいきません。
製品が該当する指令・規則の中の分類の話でモジュール A か B~H かといった話は大いにすべきです。でもいきなり「認証」かといわれると、「一概には言えません」となります。
おまけ
逆に、内部生産管理=自己宣言という言い方も、わかりやすさを優先して厳密には少しずれた言い方です。本当は全部自己宣言なのですから。
ついでに言えば、ならばモジュール B~Hでは内部生産管理は関係ないのかといえば、そんなことはあり得ません。内部生産管理は基本です。
モジュール A=ノーティファイドボディの関与は不要、
厳しいモジュール H=ノーティファイドボディが関与しプロセスを審査、
です。
全ての製品は内部生産管理、適合を自己確認、設計・製造プロセスも自己確認が基本であり、それでよいのですが、
- 危険度が高いと分類される製品については、さすがに、透明性の高い組織(ノーティファイドボディ)に関わってもらってください※
- 分類については各指令・規則の規定に従ってください
※ ノーティファイドボディの関与とは、透明性確保のための第三者確認を得ることあり、利害関係のない第三者に中身をみせることです。何らかの責任を肩代わりしてくれるものではありません。
という理解で良いと思います。
個別のご相談はコンサルティングを承っております。お気軽にお問い合わせください。