CENELEC Guide 32 の活用

  • 低電圧指令への適合アセスメントに有用なガイド。
  • リスクアセスメントの際に工夫して用いる。
  • 技術文書に含めて他者が理解しやすい内容にする。

低電圧指令において、”リスク” アセスメントに関して指定された手法はありません。リスクアセスメントは技術文書に含めることが求められているように、製品のリスクと低電圧指令の安全目標についてもれなく検討済みであることを示すことが重要です。

”リスク” アセスメントには様々な手法がありますが、CENELEC Guide 32は、低電圧指令の規格を作成する、整合規格として採用する CENELEC 技術部会 (Technical Committees :TCs) が参照するためのガイドですので、低電圧指令の ”リスク” アセスメントとの相性が良いと考えられます。

CENELEC Guide 32 は、『EC標準化委任 M/511』 に対応して作成されました。このガイドの内容は、低電圧指令 2014/35/EU の要件を反映しています。このガイドは、低電圧機器の安全性と実施されたリスク評価を検証するために必要な文書の種類に関する決定について技術部会にガイダンスを提供します。(Implementation example for TCs on the use of Guide 32 for risk analysis and self-assessment)

当該の技術部会は、ひとつの規格書が、低電圧指令の整合規格としてその安全目標(指令要求)を満たしているかどうか評価します。安全目標の各項目のリスクを考慮し、当該のリスクが規格書の条項や要求にどのように関連付けれられているか、そして【 Annex ZZ 】を起草するときに、このガイドを参照して、上述の実使用例 (Implementation example for …) と同様の手法を用いることができます。

このガイドは、あくまでも、技術部会向けのガイドです。しかし、一方で、ひとつの製品が低電圧指令に適合しているかどうかを評価しようとする際にメーカーがとるべき手法として、これ以上ない手法、参考にするべきガイドであると考えられます。

メーカーが低電圧指令の安全目標への適合を検討しようとするときに、その内容を最終的に技術文書に含める前提で、”リスク” アセスメントを実施することになります。このとき、CENELEC Guide 32 を参照し、大いに活用できる、よいツールとなり得ます。

CEマーキングのブルーガイドには、整合規格の役割についての記述があり、下記のような図が掲載されています。下図の破線で囲まれた部分をメーカーが実施しようとするときに、CENELEC Guide 32 を参考にし活用することを推奨します。

このふたつの評価手法が、似通った手法になるのは必然です。
しかし、規格書の条項・要求が、製品の指令への適合を担保するような完全な包含関係にはありません。

規格書を丸ごとやれば、製品が低電圧指令を満たしていることを”推定”することはできますが、推定に過ぎません。これだけでは、低電圧指令を満たしていることの説明にはなっていません。技術文書には、この説明を含めなければなりません。それが”リスク” アセスメントを技術文書に含めるという指令要求の意味です。

CENELEC Guide 32 活用例として、ガイドの Annex D の危険源一覧表を援用して、リスクアセスメントを実施、リスク低減策を説明する一覧表を作成します。整合規格の選択、これへの適合の情報を含め、そのまま技術文書に添付するよう独自の工夫を組み入れています。  

このプロセスを実行し、その記録を技術文書に含めることによって、第3者(例えば監査当局)が適合性を確認する際にわかりやすいリスクアセスメントシートを作成します。


低電圧指令の記事から分割、加筆:2020-11-26

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