TOPIX ー 該当/非該当、対象/対象外
- CEマーキングは原則として最終製品に適用されます。
- 最終製品メーカーがその製品に組み込む部品・コンポーネントは、基本的にCEマーキングの対象外です。
- 非該当、対象外であっても、相応の情報資料を提示できなければ、最終製品の部分品としては採用されない可能性がある。
- 部分品であってもエンドユーザー向けに一般ルートで販売されるものは対象になります。
- 機械指令(規則)に定義される半完成品はCEマークをつけませんが、適合性評価は必要です。
- 該当する指令(の必須要求事項)がなければ、一般製品安全規則(GPSR)の一般安全要求を満たす必要があります。
原則的に、最終製品がCEマーキングの対象
CEマーキング指令・規則の対象とならない製品には、CEマークを表示することはできません。
機械指令で定義されている部分完成品には、CEマークを表示してはいけませんが、適合評価は必ず実施しなければなりません。
CEマーキングは、原則として最終製品が対象です。
最終製品メーカーによる適合宣言書と技術文書がなければなりません。
監査機関から提示を要求されるのは、最終製品の適合宣言書と技術文書

最終製品に内蔵されている個々の部品や製品、相互接続してシステムの一部を構成する個々の製品の適合宣言書と技術文書は、必ずしも必要とされているわけではありません。
必要なのは、システム全体の適合宣言書と技術文書であり、部分品の適合宣言書や技術文書は、システム全体の適合性を記述する技術文書の中での一つの資料にすぎません。
内部部品・コンポーネントの適合宣言書や技術文書が存在する場合、それらはシステム全体の適合性を提示するために技術文書の中で関連付けられます。全体の技術文書に部分品の技術文書を添付することはできますが、あくまで最終製品全体の適合を提示する上での補助資料としての位置付けです。
内部部品・コンポーネントの適合宣言書・技術文書がない場合でも
部分品それぞれについて、必ずしも適合宣言書や技術文書が揃っている必要はありません。代わりに、その部品が正しく・安全に使用されていることを示す資料が必要になります。たとえば、製品安全認証書のコピー、使用条件、インターフェース部回路図等、その部品の製品安全認証条件や使用条件、設置方法、使用方法、仕様等、これらにより、部品の製品安全認証条件や仕様、使用制約等が、最終製品の中で逸脱なく守られていることを確認し、システム全体としての適合性を説明するために必要です。
例えば、
- 仕様定格100Vの部品を、200Vで使っていないか。
- 一般家庭向けのコンポーネントをそのまま工業用途のシステムに組入れている場合に、EMC指令におけるイミュニティ耐性に問題がないか。
- 安全上の設置環境条件、注意事項等逸脱せず最終製品に組込み使用されているか。
- 等々。
これらは、CEマーキングに適合している部分品であれば、取扱説明書・仕様書に記載されている内容です。
「当たり前のことを当たり前にしている」ことを監査当局が検証できること。
合理的な部品・コンポーネントの選択
最終製品に組み込まれている部品・コンポーネントの適合性・安全性が不明あるいは疑問がある場合、その責任は最終製品メーカーにあります。
最終製品メーカーは、最終製品の適合性・安全性を確保する設計をし、その旨技術文書にまとめなければなりません。その責任のもとで、最終製品に組みこまれた部品・コンポーネントが適切であることについての検証可能な裏付けが必要となります。
それら裏付けは多くの場合、部品・コンポーネントの取扱指示書、仕様書、各種図面、適合規格、認証書のコピーなどです。これらの資料で関連する裏付けが不足の場合、または、最終製品において部品・コンポーネントの用途や使用条件を逸脱している場合には、最終製品メーカー自ら検証を行う必要があります。
しかし、このような検証は、現実的には多大なコストと時間を要し、非効率になりがちです。部品・コンポーネントの適合性・安全性を、購買者である最終製品メーカーが独自検証するのは、費用・時間・リスクの観点からも大きな負担です。
したがって、製品と適切な資料を提供してくれるサプライヤーの部品・コンポーネントを選ぶことが合理的です。
他方、自社の設計が、部品・コンポーネントに特別な対応を求めていないかを省みることも重要です。
特別な対応を求めるのであれば、その対価を支払うのは当然であり、それを理解した上で設計を行うべきです。
重要なのは、確立された汎用品の組み合わせを基本とし、競合との差別化は本質的な勝負ポイントに集中させるという、設計上のメリハリです。
部品をCEマーク部品にしなければならない?!
CE適合部品を強制的に使用するように要求している指令、規格は見たことがありません。
たとえ修理交換用の部品・コンポーネントが、単体で客先に販売されるものであっても、最終製品の適合責任を部分的に切り離してサプライヤーに転嫁することはできません。
適合性が問われるのは、あくまでも「最終製品」であり、その適合宣言の責任は最終製品メーカーが単独で負うことになります。
ただ、RoHS指令に関しては、RoHS指令適合品、適合材料ではない場合、もしくは適合性が不明な場合に、それを最終製品でカバーするということができません。現実的な対処として、適合品への変更、サプライヤーへの適合化要求、不明品であれば分析評価などが必要となります。同等品で適合品があればそちらに変更することになるでしょう。
CEマーキングは、「すべての部品がCEでなければならないか?」
「いいえ。そんなことはありません。」
現実的な対応として・・・
《その部分が抱えているリスクによる》
その部品次第で、危険になり得る(安全関連部品、他)
⇒ 認証品を採用(現実的)
危険になり得るが認証品ではない
⇒ 様々な条件での適合性・安全性検証が必要
適合性・安全性に影響はない
⇒ 単なる性能、信頼性、コスト、商品価値の問題
《適合性評価の実際》
認証品を採用、認証条件を逸脱せずに用いている
⇧ 実物と文書を確認
認証条件を逸脱 している
⇧ 逸脱について、システム全体でどのように適合性・安全性を担保しているか。
不適合部品、不明な部品を使用している
⇧ 安全機能を何ら果たさないものとみなして評価
(例:耐電圧が認証されていない電線は、裸銅線とみなして評価)
現実的に、最終製品をCEマーキング適合するよう設計した結果として、多くの部品・コンポーネントについてCEマーキング適合品を選択することは合理的です。
但し、ただ単にCEマーキング適合部品で最終製品を構成したからといって、最終製品が無条件にCEマーキングに適合するものではありません。CEマーキング適合を宣言している製品は、殆どの場合、その適合のための前提条件、設置・使用条件が示されます。つまり「CEマークが付いている部品を使ったからOK」ではなく、その部品が設計上の前提を満たした上で、全体として整合しているかが問われるのです。
最終製品が、各部品の前提条件、設置・使用条件を満たし、正しく実装・使用されていること。そして重要部品リストや、評価レポート等を技術文書に含めることによって、最終製品メーカー単独の責任において提示できなければなりません。
尚、CEマーキング適合製品は、その殆どがRegulation (EU) 2019/1020の対象となるため、これに従ってEU内正式代理人の名称と住所を製品に表示しなければなりません。
サプライヤー製品に対して、本来不要なCEマーキングを要求する場合、サプライヤー製品上のEU正式代理人表示を受けいれ、なおかつ、かかる対価(代理人、表示にかかるコスト)を受け入れる必要があります。— 推奨いたしません。
本来大切なことは、自社製品を適合宣言するにあたって、自社製品において、適切な部品を適切に組み入れ、適合性を達成するかどうか、そして適合していることについて、合理的に提示できるかどうかです。
この意味合いにおいて、CEマーキングの枠組みをうまく利用して、調達品への要求仕様で指令や整合規格について言及することにより、スマートなコミュニケーションをとることができます。
単にCEマークがついてる、ついてないではありません。
CEマーキング協力依頼のテンプレート【無償提供】
部品・コンポーネントのサプライヤーにCE対応をお願いする際に使えるテンプレート(ワードファイル)です。

どうぞご自由にご活用ください。
ご質問・ご相談お気軽にお問い合わせください。
内部部品・コンポーネントのメーカーは間接的な協力対応
【架空のシステムの例】

CEマーキングは、最終完成品が対象となります。部分品、組込品であっても広くエンドユーザーに販売されるものは、CEマーキングの対象となります。
CEマーキング適合宣言をしようとする製品の一部を構成する個々のサプライヤーにとって、CEマークの貼付、適合宣言、技術文書作成は義務ではありません。(エンドユーザー向けに”広範に”販売しない場合)
納品先との協力関係において、必要な情報(取扱説明書、仕様書、使用条件、RoHS指令に関する情報、宣言書など)を提供することが一般的です。
これらの情報は、最終製品メーカーの設計者が開発設計段階での部品採用する際に確認するべきものであり、これらをあらかじめ十分に提示できないサプライヤー・製品は、最終製品に採用されない可能性が高いと考えられます。
自社の製品はCEマーキング対象製品ではない、無関係であると思っていても、知らないところで、選考から外されている可能性が考えられます。
自社製品がCEマーキング対象ではなく、CEマーク表示、適合宣言、EU内正式代理人をたてる、等はしないとしても、CEマーキングの枠組みに沿って、適切な関連情報を提供できることは重要です。
トランスの場合
(目的・条件によりますが、適合が不明な場合には概ね以下が必要です。)
仕様書、部品組立図と使用材料・部品リスト(耐電圧、線径、耐熱、難燃性、RoHS規制物質有無、等)、及び分解確認用の未含侵サンプル、短絡・過負荷試験用サンプル
CEマーキング適合トランス
⇒
取扱説明書(使用条件)、適合宣言書のコピー、等
内部部品・コンポーネントでもCEマーキング適合が必要な場合
部分品であっても、エンドユーザーが販売店などで直接入手する製品(内蔵タイプのハードディスクや拡張ボードなど)は、その部分品は最終製品とみなされます。そのため、該当するCEマーキング関連指令が存在する場合は、単体でCEマーキングの対象となります。
一方、単独で販売される修理・交換部品は、適合宣言された最終製品の部分品であるため、CEマーキングの法的責任を個別のサプライヤーに求めることは不適切です。
エンドユーザーは最終製品の一部として最終製品企業から調達するのであって、たとえ形式的にサプライヤーから直接購入するとしても、実態的な責任は最終製品メーカーにあります。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
- 消費者が最終製品メーカーを通じて調達する以外に、自由な市場のなかで調達可能にしている場合
- 調達経路にかかわらず、その部品が最終製品の目的外に使用されることが容易であり、実際にそうした使用が存在する場合
どの指令にも該当しないと考えられる場合は
CEマーキング関連指令のどの指令にも該当しない製品は、一般製品安全規則(General Product Safety Regulation:GPSR 2023/988/EU)の一般安全要求を満たさなければなりません。CEマーキング関連規則ではなく、CEマークはつけません。
参考:
2017-10-19
加筆修正(適合の前提条件、EU内正式代理人に言及):2024-01-30
全体見直し、CEマーキング協力依頼テンプレートのダウンロード追加:2025-06-16
ウイザード形式で当社のサービスを案内します。
選択肢を順番に選択することにより、簡単に見積もりのお申込みが可能です。
適合宣言の範疇、製品仕様、Intended use analysis、リスクアセスメントの最初のステップです。
指令の必須要求事項と製品に内在するリスクを照査します。
評価・試験を効率よく進めるためには、適切な計画の下で予め必要な物を揃え、必要な事項を決定します。
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技術文書ドラフト版(英語)を作成します。(ワードファイル)
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