適合宣言書 (EU Declaration of Conformity)とは

  • 製造メーカーもしくは正式代理人が作成する。
  • 当局からの正当な要求に応じて速やかに提出する。
  • 10年間は保持する。
  • 変更管理をする。

適合宣言書 (Declaration of Conformity: DoC) は、CEマーキング適合製品の名刺の様なものです。製品名、メーカー名、該当指令、適用した整合規格、サイン等、指令が指定する項目を記載します。

適合宣言書の標準モデルは存在しますが、各指令によって少しずつ異なります。各指令の内容が優先します。複数の指令に該当している場合は、複数の指令それぞれの記載要求をすべて満たすように作成しなければなりません。

適合宣言書は、メーカーまたはメーカーの正式代理人 (Authorized representative) が作成・保持します。 CEマーキングにおいては自己宣言ですので、自己宣言書と言っても間違いではありませんが、CEマーキング関連の指令やガイドでは、英語で Self Declaration と表記されているのは見かけません。

適合宣言書は、メーカーまたはメーカーの正式代理人 (Authorized representative) が作成・保持しますが、全ての該当指令の必須要求事項を適切に満たしていることを確認して初めて適合を宣言することになります。単に宣言書だけを作成することは罰せられる可能性があります。

1

制限事項・使用上の前提条件

適合を宣言する範囲、責任範囲を明確に決定する。

2

リスクアセスメント

包括的なリスクアセスメントを実施、該当指令を決定、援用する整合規格を参照する。

3

テストプラン

整合規格を参照するなどして、適合実証するための検査、試験を計画する。

(該当指令に適合する設計・製造)

4

評価・試験

リスクアセスメントに基づいて試験計画、整合規格を援用する実証確認を実施、テストレポートは、技術文書に編入する。

5

技術文書作成・保持

該当指令への適合を公式に提示する文書一式、他者が適合性を確認できるように纏める。

6 適合宣言書作成・保持:この記事

7

市場監査への協力
EU内正式代理人

出荷管理、技術文書・適合宣言書の提出要求があった場合の対応。

適合宣言書のサンプル ” the standard model(標準モデル)” は、各指令の付属書や、欧州委員会ホームページのメーカー向けページで提示されています。これは《書式、フォーマット》ではなく、標準モデルですので、文字フォントやサイズ、背景、レイアウトなどの指定はありません。

各指令毎に、若干内容が異なる場合がありますが、おおむね共通する内容があります。

  1. 製品名/モデルナンバー
  2. メーカーもしくはメーカー正式代理人の名称と住所
  3. ”この適合宣言書はメーカー単独責任において発行された”、旨の記述
  4. 宣言の対象(追跡を可能にする製品の識別;製品を特定するのに必要な場合に明瞭なカラー画像を含む)
  5. ”上記の宣言対象は、関連する欧州連合の法律に適合しています”、旨の記述
  6. 使用した整合規格の番号と年号、その他参照した規格の番号と年号
  7. 該当する場合、”ノーティファイドボディ([名称]、[番号])が[関与した内容]に関与し、証明書を発行した。”、旨の記述
  8. 追加情報
    [場所]、[日付]
    [氏名、役職][自筆サイン]

適合宣言書 記載要求事項の各指令横並び一覧表(英語)ワードファイル【無償】

適合宣言書にサインする人は、当局からの提出要求に対応できうる人です。会社によって様々ですが、社長、品質保証部門の責任者、開発設計部門の責任者等が適切と思われます。

宣言書の書き方としては、上述の内容を記載し、サインすれば完成です。

適合宣言書は、上述の標準モデル及び各指令独自の記載要求を逸脱せず、見やすく、誤解を招かないように作成することが大切です。適合宣言書に記載されている内容と実際の製品とが同一のものだと理解されるように記述し、疑義を生ずることがないようにするべきです。不一致があると、実際の製品か適合宣言書のどちらかが偽物扱いを受け、物事が進まなくなるかも知れません。

実際の製品と適合宣言書とで、大文字/小文字の区別に違いがあったり、どちらかの表記が略されていたりすると、疑義を生じる可能性が高まります。一例として、確認する人(外国人)にとってはよくわからない外国(すなわち日本)の住所のビル名のある/ないを、その通りに理解してもらえるかどうか賭けるより、一字一字間違いないかしっかり確認しましょう。

ファミリーモデルで一括で適合宣言する場合は、すべての完全なモデル名を列記するか、明瞭で理解されやすいモデル名の名付規則を併記するべきです。

一例として、製品が「QWE200-Xs」であるとします。適合宣言書には「QWE series」と記載している、これだけでは製品と適合宣言書が本当に一致しているのか、QWEシリーズのなかに、”200-Xs”というモデルが本当に存在しているのか、適合していないモデルを適合しているように見せかけているのか、書類の不備として是正要求を受けることになるかもしれません。

(モデル名の名付規則とは例えばこんなイメージです。)

The model number of QWE series. QWEnnn-XX

QWE

family model number

nnn

Rating Voltage. 100 is 90 to 110 V, 200 is 180 to 220V

XX

suffix number. Xs is for the short workpiece, XL is for the long workpiece.

複数に梱包をわけている場合は、品番リストを併記しましょう。どれが何か、予備知識のない第3者が正しく関連付けできるようにしておかないと、適合宣言書がないと判断され、後から説明しても遅いかもしれません。

欧州に上市し続けていく中で、指令や整合規格が改定されることがあります。また、製品に使用している部品が製造中止になることも考えられます。

欧州に上市し続ける限り、製品の適合性は維持しなければなりません。自己宣言書 (Declaration of Conformity) は適切に更新されなけれなりません。


22017-11-21
「CE適合宣言書を作成するには」追加:2021-06-04
「CE適合宣言書を作成するには」に加筆:2024-02-10

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