TOPIX ー EU一般製品安全規則 (EU) 2023/988
- 一般製品安全規則は、医薬品や食料・飼料を除くすべての製品に適用されます。ソフトウエアも該当します。
- 一般製品安全規則の一般安全要件(第5条)は、他の特定の安全法を補完するものであり、それら指令・規則でカバーされないリスクがある場合に該当します。
- より一般論としての安全要件を満たさなければなりません。満たしていることを技術文書で市場監視当局が検証できるようしなければなりません。
- 安全要件をただ満たせばよいだけではなく、メーカーとしての責務を果たさなければなりません。
- CEマーキング対象製品であっても、それら指令や規則でカバーされないリスクや状況には、GPSRが補完的に適用されます。「遠隔販売」「オンライン市場」「セーフティ・ビジネス・ゲートウェイ」「撤回」「リコール」「消費者救済」等々。
- 慎重に、注意深く規則を確認し、製品をどうすればよいか、自社が何をすればよいかは、自身で決定しなければなりません。
一般製品安全規則は、CEマーキングと無関係ではない
欧州市場で入手可能とする (making available on the market) 製品は、安全なものである必要があります。
欧州一般製品安全規則(General Product Safety Regulation (EU) 2023/988 (以下、’’GPSR”))は、医薬品、食料・飼料などを除くすべての製品に適用されます。(詳細は第2条 適用範囲)
適用外とされている医薬品等以外の製品は、とにかくまずはGPSRに該当すると考えましょう。その適用ルール(第2条)のなかで他の指令・規則の安全要件に該当するならば、それら指令・規則と要件が適用されます。他の指令・規則の安全要件に該当しない場合は、GPSRの一般安全要件(第5条)が適用されます。
ありていにいえば・・・
一般製品安全規則(GPSR)適用
特別ルールに規定があれば・・・
特別ルール適用
(CEマーキングの指令・規則など)
必ず原文にたちかえり、文脈を踏まえて正確に理解する必要があります。
GPSRを含め、CEマーキングの指令・規則は、どれかひとつに該当すれば他には該当しないということはありません。多くの場合ひとつの製品に重複して該当します。
製品は指令・規則によって排他的に分類されません。

GPSRに該当する代表的なものは、家具、ジム用品、自転車などですがこれらに限りません。
物理的な媒体を伴わない純粋なソフトウェアも、製品として市場に提供される形態によってはGPSRの対象となります。
誤解しやすいGPSRの概念を解説しています。ぜひお買い求めください。
逆に言えば、CEマーキングの各指令・規則でカバーされない製品のリスクがある場合、このリスクを放置して市場に流通させることはできません。GPSRはそのようなバックアップです。CEマーキングの各指令・規則で明確に定められていない経済事業者の責務も規定されており、遵守しなければなりません。
CEマーキングに該当しなくてラッキー
ではなく、
寄り添える具体的な指令・規則に適用されなくてシンドイ
です。
GPSRでは、CEマークの表示を規定していません。CEマークの表示を義務付けている指令・規則にひとつも該当しない製品には、CEマークを表示してはいけません。CEマークの不正表示は誤認を招き、法的制裁の対象になります。
同様にGPSRでは適合宣言書の作成を規定していません。
CEマーク表示や適合宣言書はCEマーキングとして確立された指令・規則に製品が該当し、適合していることを示します。
GPSRの「製品」とは
GPSRに定義される「製品」の概念はつかみにくく、簡単に説明することは難しいです。規則を注意深く読み、端的な理解で問題を起こすことのないよう、くれぐれも慎重に理解する必要があります。
該当製品か否か、「製品」の定義云々…。敢えて言えば、定義に照らし機械的に判断するのではなく、その対象物が実際に消費者にリスクをもたらし得るかどうかという観点で考えるべきです。GPSRが補完的な性格をもつ規則であることを踏まえれば、このような実務的理解が自然です。
‘product’ means any item, whether or not it is interconnected to other items, supplied or made available, whether for consideration or not, including in the context of providing a service, which is intended for consumers or is likely, under reasonably foreseeable conditions, to be used by consumers even if not intended for them;
「製品」とは、他の物品との相互接続の有無にかかわらず、対価の有無にかかわらず、供給され、または入手可能になった物品であって、消費者向けであるか、または消費者向けでなくとも合理的に予見可能な条件下で消費者が使用する可能性があるすべての物品を意味する。
Article 3(1) GPSR
第3条(3) 一般製品安全規則
つまり、
- ひとまとまりの製品か?部分品か?付属品か?
- 有償か?無償か?
- B2Cか?B2Bか?
などで製品を区分せず、合理的に予見可能な条件下で、消費者にリスクをもたらし得る製品がGPSR上の「製品」に該当することになります。
たとえば、DIYが容易な製品については、個別のパーツであっても、消費者がそれを入手・使用することが合理的に予見可能であるため、これらのパーツも「製品」としてGPSRの適用対象となります。
「(市場で)入手可能にする」とは
上述の製品の定義にもある「入手可能にする (make available)」、といった言葉の定義は、同じく第3条に記述されています。
‘making available on the market’ means any supply of a product for distribution, consumption or use on the Union market in the course of a commercial activity, whether in return for payment or free of charge;
「市場で入手可能にする」とは、商業活動の一環として、有償か無償かを問わず、EU市場での流通、消費または使用のために製品を供給することを意味する。
Article 3(6) GPSR
第3条(6) 一般製品安全規則
外国語と日本語は必ずしも一対一で対応せず、最も近い表現を用いることになります。しかし重要なことは、その概念をGPSRの文脈でよく理解することです。
たとえば、第4条 遠隔販売には次のように記述されています。
Products offered for sale online or through other means of distance sales shall be deemed to be made available on the market if the offer is targeted at consumers in the Union. An offer for sale shall be considered to be targeted at consumers in the Union if the relevant economic operator directs, by any means, its activities to one or more Member States.
オンラインまたはその他の遠隔販売手段を通じて販売される製品は、その提供がEU内の消費者を対象としている場合、市場で入手可能とみなされる。販売の申し出は、関連する経済事業者が何らかの方法でその活動を1つ以上の加盟国に向けている場合、EU内の消費者を対象としているとみなされる。
Article 4 GPSR
第4条 一般製品安全規則
GPSRの ”ことば” をその文脈において理解すること。
「市場で入手可能にする (making available on the market)」、「市場に出す (placing on the market)」、この二つはGPSRでもCEマーキングでも重要な概念です。
「製造者」とは
「製造者」とは一般に、製品を設計、製造する者ですが、ここでもGPSRの文脈のなかで理解する必要があります。
‘manufacturer’ means any natural or legal person who manufactures a product or has a product designed or manufactured, and markets that product under that person’s name or trademark;
「製造者」とは、製品を製造または、製品を設計あるいは製造させ、その製品を自らの名前または商標で販売する自然人または法人を指す。
Article 3(8) GPSR
第3条(8) 一般製品安全規則
この定義において特に重要なのは、「自らの名前または商標で販売する」という点です。たとえ設計・製造は別の企業が行っていたとしても、自社ブランドで市場に出すのであれば、その企業が「製造者」として責任を負うことになります。
すなわち、通常ではOEM先が、製品を市場で”入手可能にする”のであり、OEM先が「製造者」とみなされ、一次的な法的責任を負うことになります。この場合、OEM元は製品を設計・製造しているにもかかわらず、直接的に製造者としての責務は負わず民間契約上の契約履行となります。OEM先・OEM元どちらも一方的な契約により全責任を免じられるものではありません。
サプライヤーは通常、製造者に対して「製品」を供給している者であり、GPSRの文脈では製造者とみなされません。サプライヤーがGPSR上の製造者としての法的責任を直接負うことは基本的にありません。
製造者はサプライヤーに対して、あたかも自身が消費者であるかのように責任を一方的に押しつけることはできません。つまり、製造者の責任を部分的に切り取ってサプライヤーに転嫁することは認められません。製造者は第9条に規定された責任を自ら全うすることが求められます。
「製品」について上で述べた通り、「製品」は、部品/スペアパーツ/付属品か、B2B/B2Cか、などの区別なく、合理的に予見可能な条件下で安全要件が適用されます。部品等を組み合わせてひとつの製品にまとめ「”最終製品”」、その ”最終製品” を市場で入手可能にする者が製造者としての法的責務を担います。
「最終製品」のスペアパーツは、最終製品の一部として安全要件がすでに適用され、最終製品の製造者の責任において安全要件への適合がすでに検証されているものでなければなりません。最終製品から切り離してスペアパーツ単体でGPSRやCEマーキングに適合する必要はありません。但し、次の場合はその限りではありません。
- 最終製品の購入者向けではなく、広く一般に販売する。
- 購入された最終製品のスペアパーツとしての用途とは異なる使われ方をされる可能性が高い。
これらのような実態が確認された場合、違反とされる可能性があります。
従って、そのような可能性が想定されるパーツを「最終製品」に採用することは避け、あらかじめ市場で入手可能なパーツを使用できるよう、それに合わせた設計を行う。このように線引きできるならば、その方が合理的な場合があります。
例えば、ACアダプターは典型的なスペアパーツの一例です。製品本体とは別売可能であり、ユーザー自身が交換することも一般的です。しかし、製品の電源供給を担い、安全性に直結するため、その仕様や性能に関する情報は、元の製造者が十分に管理しておく必要があります。製品本体を購入したメーカーから正規ルートで入手できることが重要な意味を持つのです。
一方で、”それ、USB給電にできる?” という発想もあります。汎用規格に対応させることで、消費者にもメリットがあり、製造者もスペアパーツの個別管理という負担を軽減できます。
もちろんケースバイケースで個別に検討する必要があります。
別の観点では、サプライヤーにGPSRやCEマーキングの『製造者としての責務』を求めるならば、サプライヤーに対して、用途やその他あらゆる情報を提供し、サプライヤー自身が負担するEU代理人との契約やその他諸々のコストに見合った対価が必要です。ビジネスとして見通しが立たなければ断られるでしょう。
原則的に最終製品の製造者の単独責任
公式FAQはより深く規則を理解するために役立ちます。当社でのこのFAQの「機械翻訳+意訳」を別ページに作成しました。解説を付け加えた【有償版】も販売しております。
是非、お買い求めください。
一般製品安全規則の安全要件とは
Economic operators shall place or make available on the market only safe products.
経済事業者は安全な製品のみを市場に投入または提供しなければならない。
Article 5 General safety requirement
第5条 一般安全要件
第9条により、製造者には、その製品が第5条に規定された一般安全要件を満たす設計および製造されていることが求められます(第9条項1)。製品のリスク分析を実施して技術文書を作成しなければなりません(第9条項2)。
一般製品安全規則に該当する製品、あるいはその側面については、上記の一般論としての要件を満たし、その旨を適切に提示する技術文書を作成する必要があります。
リスクやリスクのやカテゴリによって分類された、より具体的な要件(必須要求事項)が定められているCEマーキングの指令・規則は、分類されていることにより、その分やや簡便であると言えます。GPSRでは、それら分類された指令・規則に該当するならそれらを適用し、分類にあてはまらないリスクについては第5条の要件を満たさなければなりません。
『一般』 = 『イージー』と誤解してはならない。
リスク分析
GPSR第9条2項で求められるリスク分析は、第6条の側面を考慮し、合理的に予見可能な誤使用を想定に含め、製品に関連するすべてのリスクを網羅していなければなりません。
ここでいうリスク分析とは、製品の用途や動作原理、使用環境等を明らかにし、該当指令・規則の決定と参考にする整合規格を決定するための基礎となるものです。このような分析と関連資料を技術文書に含めることが求められています。
以下の記事についてもご参考下さい。
”CEマーキング”と銘打っていますが、GPSRでも同じことです。
技術文書
製造者は技術文書を作成しなければなりません。
技術文書を作成するのが製造者です。
技術文書は、『我々の製品は適合している』と説明する根拠一式です。他者(特に市場監視当局の担当者)が適合を検証できる内容であることが求められます。定められたフォームはありません。
必要な内容は大別して、
- 製品がなにか?製品に関連するリスクはなにか?
リスク分析を含み、必要な情報を含む資料(取扱説明書、仕様書、部品の資料、各種図面など様々)がなければ作成します。 - リスクをどのように解決し、またそれをどのように確認したか?
リスク低減が適切な方法で達成されていることの説明(多くの場合、整合規格による評価レポート)と、適切であれば試験レポートや関連資料を含む。
です。もちろん他者が誤解・混乱しないように適切に構成、記述する必要があります。評価レポートや図面をただファイルすれば出来上がるものではありません。
以下の記事についてもご参考下さい。
”CEマーキング”と銘打っていますが、GPSRでも同じことです。
整合規格
整合規格については、まず法規制そのものではないことを知っておく必要があります。あくまで、”適合の推定を与える技術仕様”、”試験方法”であり、『”合格”すれば”適合”』とは言っていません。
GPSR 第7条にあるように、整合規格がカバーしているリスクと、製品のリスク、使用方法、構造などに整合性がなければ意味がありません。同条第3項にあるように、手続き上で製品に適合の推定が与えられている状態であっても、実際に危険を呈しているならば、市場監視当局より適切な対応を求められます。
整合規格は、GPSR、CEマーキングの各指令・規則について、”適合の推定を与える技術仕様”として、その規格番号が欧州官報にて不定期に公表されます。
詳しくは以下の記事をご参考下さい。
整合規格はメーカーを助けます
GPSRもCEマーキングも、「製品認証」として誤解・誤認、あるいは拡大解釈されている側面があります。
そう捉えて差し支えない一面があるのも事実ですが、原則として重要なのは、『あなたのこの製品は適合です』と他者が責任を持って認定するような仕組みではないという点です。
「認証」されるのはあくまで一部の要素に過ぎず、製品全体の適合性について最終的に責任を負うのは、製造者自身をおいて他にありません。
GPSRもCEマーキングも、『我々のこの製品は適切で安全に使用できます』と、製造者自らがそう言えるための枠組みなのです。
製造者が『適切で安全』といわない製品、誰が買いますか?
製品の安全要件を満たせばよいだけではない — 製造者の責務
製造者に課せられる責務は、GPSRの安全要件または該当する指令・規則の必須要求事項(Essential Health and Safety Requirements: EHSR)を満たし、技術文書を作成することだけではありません。
GPSR第9条および各指令・規則に製造者の責務が規定されていますが、それだけではありません。他の複数の章にも、製造者や経済事業者に求められる規定が盛り込まれています。
GPSRに該当する製品はもとより、CEマーキングに適合していても、下表のGPSRに規定された事項を遵守することが求められています。
他の指令・規則に該当する製品にも適用されるGPSRの各章
第Ⅰ章
一般規定
第Ⅱ章
安全要件 (他の指令・規則でカバーされていないリスクまたはリスクのカテゴリに限定)
第Ⅲ章
セクション2: 経済事業者の責務(遠隔販売、製品の安全性に関連する事故の報告、電子形式での情報に関する規定)
第Ⅳ章
オンラインマーケットプレイスのプロバイダー
第Ⅵ章
セーフティゲート迅速警報システムおよびセーフティ・ビジネス・ゲートウェイ
第Ⅷ章
情報および救済を受ける権利
CEマーキングの各指令・規則にも、各経済事業者に対する責務が規定されています。いずれかを遵守すればよいのではなく、すべて”重ね合わせて”遵守する必要があります。
たとえば、CEマーキングに適合していても、GPSR第3章セクション2に照らして不適合と判断される可能性があります。
GPSR ”責務” 一覧表
規則についての多くの誤認・誤解は、自分に関係する箇所だけを読み、全体の文脈のなかで理解しないことに原因が求められます。
たとえば、正式代理人は製造者に代わって責任を負ってくれる人ではなく、責務の一部を代行してもらうために、そのような業務について製造者から書面によって許可された人です。市場監視当局に対する技術文書の提供などは、正式代理人が一次的な責任を負いますが、最終的には製造者に帰属します。つまり正式代理人の不作為は処罰の対象になり得ますが、正式代理人を処罰して終わりではなく、市場監視当局は引き続き製造者に対して技術文書の提供など求めます。
下の一覧表は、案内的な利便性と、各経済事業者(製造者、正式代理人、輸入者、販売者)の責任区分を整理し、理解の一助として作成した参考資料です。
項目
(同様の項目が複数あることに注意)
主に参照する条項
製造者
EU内
正式
代理人
輸入者
販売者
製品適合
リスク分析、設計・製造
9.1, 9.2, 9.4
11.1
技術文書
作成
9.1, 9.3, 9.4
作成可
11.1
保管
11.6
市場監視当局への提供
10.2(a), 16.2
製品表示
タイプ名、バッチ/シリアル番号、その他
9.5
自社名、登録商号または登録商標
9.6
16.3
11.3
郵便住所および電子メールアドレス
9.6
16.3
11.3
表示確認
11.1
12.1
取扱指示と安全情報
製品に添付
9.7
添付されることを保証
11.4
添付確認
12.1
輸送と保管
11.5
12.2
製品が不適切と判断したとき
流通停止
11.2
12.3
製品が危険と判断したとき
撤回または回収
9.8(a)
11.8(b)
12.4(b)
是正処置
9.8(a)
消費者への通知
9.8(b)
11.8(c)
市場監視当局への通知
セーフティ・ビジネス・ゲートウェイ
9.8(c)
10.2(c)
11.2, 11.8(d)
12.4(c)
関係者への通知
9.10
11.10
製造者への通知
10.2(b)
11.2, 11.8(a)
12.4(a)
同様製品、部品に関する情報提供
23.3
苦情受付
ユーザー補助
9.11
11.9
調査、対応、記録
9.12
11.10
個人データの扱い
9.13
11.11
正式代理人
(任意)
(10条)
任命(必須ではない)
任命する
10.1
委任状に指定された業務の遂行
許可する
10.2
市場監視当局への情報、技術文書提供
許可する
10.2(a)
製造者への通知
10.2(b)
市場監視当局への通知
セーフティ・ビジネス・ゲートウェイ
指示する
10.2(c)
市場監視当局への協力
10.2(d)
11.7
正式代理人
(必須)
(16条,MSR)
任命(必須)
16.1
16.1
定期確認
対応する
10.2
自社名、登録商号または登録商標
郵便住所および電子メールアドレス
16.3
事故を知った時
20.4
市場監視当局への協力
(15条)
リスクを排除または軽減協力
15.1
15.1
15.1
15.1
製品によってもたらされるリスク、関連する苦情、および既知の事故の完全な説明
15.2(a)
15.2(a)
15.2(a)
15.2(a)
是正措置の説明
15.2(b)
15.2(b)
15.2(b)
15.2(b)
製品、または製品に組み込まれた部品、コンポーネント、ソフトウェアを供給した経済事業者
15.3(a)
15.3(a)
15.3(a)
15.3(a)
製品を供給した相手である経済事業者
15.3(b)
15.3(b)
15.3(b)
15.3(b)
事故の場合
(20条)
セーフティ・ビジネス・ゲートウェイから通知されることの保証
20.1
事故の把握
20.2
製造者への通知
20.3
20.3
内部プロセスの整備
9.4, 14
14
14
14
- 製品をその自然人または法人の名称または商標で市場に出す場合、製品を大幅に変更する場合、製造者とみなされる。(第13条)
- 正式代理人はその旨で契約したEU内の事業者が兼任する場合がある。
- 遠隔販売についてはGPSR第19条を参照。
- オンライン市場についてはGPSR第22条を参照。
- MSR: Market Surveillance Regulation (EU) 2019/1020 GPSR: General Product Safety Regulation (EU) 2023/988
この一覧表は、簡易にまとめたものであり、正確性を保証するものではありません。
以下の資料はすべて、アシストCEが独自に機械翻訳+意訳した参考文書です。
内部プロセスの整備(第14条)
Economic operators shall ensure that they have internal processes for product safety in place, allowing them to comply with the relevant requirements of this Regulation.
経済事業者は、製品安全のための内部プロセスが整備され、本規則の関連要件に適合できるようにしなければならない。
Article 14 General safety requirement
第14条 一般安全要件
なかでも、製造者は、連続生産される製品が第5条の安全要件に適合し続けるための手順が整備・維持されていることを確実にしなければなりません。(GPSR第9条4項)
この「内部プロセスの整備」は、単に文書を用意することではなく、実際に機能していることが求められます。たとえば、次のような問いに対して、誰が、どのように行うのかが社内で明確でなければなりません。
- リスク分析や設計は誰が行うのか?
- 他の経済事業者(輸入者、販売者、正式代理人など)と連絡をとるのは誰か?
- 市場監視当局からの問い合わせには誰が対応するのか?
- 苦情の受付、記録の維持はどう行われているか?
- 事故を知った際の対応フローはどうなっているか?
- 製品を最終的にリリースする(GOサインを出す)のは誰か?
これらに限らず、製品安全を確保するために必要なあらゆる活動について、担当部門や責任者、実施手順が明確にされ、確実に実施されていることが求められます。
また、内部監査や継続的改善の仕組みも不可欠です。これらの観点では、ISO 9001の考え方や仕組みが大いに参考になります。
電子アドレス
Without prejudice to Article 9(5), (6) and (7), Article 11(3) and Article 16(3), and the relevant provisions of Union harmonisation legislation, economic operators may additionally make the information referred to in those provisions available in a digital format by means of electronic technical solutions clearly visible on the product or, where that is not possible, on its packaging or in a document accompanying the product. That information shall be in a language which can be easily understood by consumers, as determined by the Member State in which the product is made available on the market, including in accessible formats for persons with disabilities.
第9条(5)、(6)、(7)、第11条(3)、第16条(3)、およびEU調和法の関連規定に影響を与えることなく、事業者は、これらの規定で言及されている情報を、電子技術ソリューションによってデジタル形式で提供することもできます。電子技術ソリューションは、製品に明確に表示するか、それが不可能な場合は、製品のパッケージまたは製品に付属する文書に表示することもできます。その情報は、製品が市場で提供される加盟国が決定する、消費者が容易に理解できる言語で提供されるものとし、障害者が利用できる形式も含みます。
Article 21 General safety requirement
第21条 一般安全要件
『第9条(5)、(6)、(7)、第11条(3)、第16条(3)、およびEU調和法の関連規定』とは、経済事業者の名称、住所を製品に表示する規定を指しています。それらは表示した上で、「電子アドレス」を追加的に表示してもよいとされています。
ここで『電子アドレス』とは、電子メールアドレスや、ウェブ上の問い合わせページのURLを指しており、単に会社情報が記載されているページではなく、消費者が実際に問い合わせや情報提供を行える手段が用意されているページである必要があります。
必ずGPSRの関連条項、該当する指令・規則、FAQなど確認し、適切に対応することが求められます。
解説を加えた有償版も、是非お買い求め下さい。
このウェブ記事より詳しく、メーカーがどの様に理解しどう対応するかという観点から解説しています。
苦情受付(第9条11、12、13項)
消費者が苦情を申し立て、製品で経験した事故や安全性の問題を製造者に通知できるようになっている必要があります。
「そのような通知はどこにすればよいか」について、たとえば電子アドレスで製品上に明示されていること、また消費者が実際に通知しようとする際に、消費者が困惑することなく明快に通知できるようになっていなければなりません。
たとえば、QRコードを製品に印字し、そのリンク先に苦情受付フォームが設置されているような方法が考えられます。
速やかに通知を受理する、そのような体制が整っていることで、被害・損害の拡大を防止し、逆に製造者に対する信頼につながる可能性さえあります。
尚、通知者の個人情報は適切に管理される必要があります。
さらに、通知内容の中には、安全性に無関係な要望や、悪意ある主張が含まれることも想定できます。すべてに無条件で応じる必要はありません。製造者は適切な基準に従い、内容を評価し、必要な対応に注力する体制が求められます。規制や基準は、正当に規制・基準を適切に遵守している製造者の立場を護る側面もあるのです。
事故の報告(第20条)とセーフティ・ビジネス・ゲートウェイ(第27条)
自社製品によって引き起こされた事故を知った製造者は、直ちに適切な対応を遅滞なく実行することが求められます。
従って、第20条に定められた責務は、社内の ”製品に起因する事故発生時の手順” に組み込まれている必要があります。もちろん第20条を丸写しするだけではなく、明確な職務分掌に基づいて、適したスキルを持つ人材が実際に配置されていなければなりません。
事故の報告は、EUのセーフティ・ビジネス・ゲートウェイ (Safety Business Gateway) を通じて行われることが求められています。
事故を知った販売者、輸入者は、まずその旨を製造者に連絡します。製造者はこれを受けて、自らセーフティ・ビジネス・ゲートウェイから通知するか、販売者または輸入者から通知すること指示する場合には、彼らに必要な情報を提供しなければなりません。
第16条における「責任者」は、事故を知った場合、通知が行われることを確実にしなければならず、実務的には通知についての連絡・報告を受ける必要があります。
第16条における「責任者」は、セーフティ・ビジネス・ゲートウェイから通知されることを確実にするという意味で、EU外の製造者に対しては、製造者自らが通知できる体制を整えるか、または正式代理人(通常、「責任者」がその責務を兼ねる)との契約に、通知に関する条項が含まれていることを確認する必要があります。
いずれにしても、製造者は、ビジネス・ゲートウェイからの通知について、必要な手順や提供すべき情報をよく把握していることが求められます。
- 自ら通知する場合、EU-Loginのアカウントを取得する。
- 正式代理人(通常、第16条の責任者がその責務を兼ねる)から通知する場合、その契約に、GPSR第10条2(c)項の内容を含める。
- セーフティ・ビジネス・ゲートウェイでの通知フォームの記入に必要な情報を提供できる。
セーフティ・ビジネス・ゲートウェイにアクセスすると、記入マニュアルをダウンロードできます。
まだ完全に運用されていない面もあり慎重に読解する必要があります。
リコール(第35条)
製品リコール、あるいは「安全警告」は、第35条に従い、特定可能な消費者に速やかに通知し、特定できない消費者に対しては、関係する経済事業者、自社のウエブページ、ソーシャルメディア、必要ならマスメディアを通じて広く告知しなければなりません。
リコールの通知は、第36条のフォームに従って作成されなければなりません。
リコール通知のフォームは以下から入手できます。
GPSR第36条リコール含む、各条の解説・アドバイスはこちら。
リコールに際して、消費者に対する救済措置(無償修理、新品交換、返金など)を第37条に従って決定し、その内容をリコール通知に記載しなければなりません。
正式代理人(第10条)と責任者(第16条)
製造者がEU域外に所在する場合、EU域内の正式代理人(Authorised Representative: AR)が必要です。
正式代理人に関する規定はGPSR第10条にありますが、これは任意です。
一方、第16条では、市場監視規則(Market Surveillance Regulation (EU) 2019/1020, MSR)第4条3項の業務を担当する「責任者(Responsible Person)」がEU域内に存在しなければ、製品を市場に投入できないと定められており、必須の要件です。
GPSR第10条の正式代理人とMSR第4条3項の責任者が担う業務はほぼ同じですが、唯一の違いは、GPSR第10条2(c)において、正式代理人がセーフティ・ビジネス・ゲートウェイからの通知を受け取る役割を担う点です(※繰り返しますが、第10条は任意です)。
GPSR第16条に定められた「責任者」は必須であり、第10条2(c)以外の業務はすべてカバーしています。
従って、EU外の製造者は、GPSR第16条に基づいて「責任者」と契約することが必須であり、任意で「通知代行」も契約に含めるのが合理的と言えるでしょう。
もちろん、「責任者」と「正式代理人」を分けて契約することも可能ですが、責任の所在が曖昧になる可能性や、製品ラベリングの複雑化といったリスクもあるため注意が必要です。
さらに、第16条2項では、責任者に追加の責務が規定されています。
【責任者の具体的義務(第16条2項)】
責任者は、単に技術文書を市場監視当局の求めに応じて提出する任務を負うだけではなく、以下について定期的に確認し、レポートを作成・保管しなければなりません。
- 製品が技術文書と一致していること。
- 製品が第9条5、6、7項の表示要件を満たしていること。
製造者は、「責任者」によるこれらの確認を受けなければなりません。
CEマーキングおよびMarket Surveillance Regulation (EU) 2019/1020 に基づく「正式代理人」については、以下の記事をご参照ください。
最後に
GPSR(CEマーキングの各指令・規則もそうですが)は、ユーザーやお客様を大切にするメーカーであれば「当たり前のこと」と考えられるのではないでしょうか?
むしろ、GPSR云々言われなくても、その多くはすでに実践されていることでしょう。
GPSRもCEマーキングも、市場流通に関する法的枠組みです。ユーザーの安全が求められるのは当然ですが、規則第1条には次のように明記されています:
「本規則の目的は、高いレベルの消費者保護を提供しながら、域内市場の機能を改善することである。」
つまり、経済事業者に過度な負担を強いて市場の機能が阻害されるようでは、本来の目的に反します。
追加された『CHAPTER Ⅱa:緊急手順』では、緊急時の柔軟な対応が規定されており、「消費者保護」と「市場機能の維持」のバランスを取ろうとする運用方針が見て取れます。
もちろん危険な製品を流通させないため、市場監視当局にはリコール命令を含む強制措置を行う権限が付与されています。
CEマーキング関連の指令・規則やGPSRは、製造者に対し逐一の行動指示を与えるものではありません。規格書もまた、「この通りに設計・製造すれば法的に安全だ」と保証するものではありません。
具体的にどう対応すべきか、製品をどうすればよいか、どこにも正解は書かれていません。指令・規則の要件を逸脱せず、規格書をよく勉強し、自社にとっての最適解を導き決定するものです。そこは各社それぞれが力量を発揮し、競争する領域です。
そのテーマ、ジャンルに詳しいコンサルタントに相談することも、有効な選択肢のひとつです。
2024-12-12
:2025-05-20
:2025-05-20
第5条の引用間違い、その他表現等修正:2025-05-21
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