技術文書で提示する(電線・ケーブル)

  • 単にCEマーキング適合電線を用いている、ではダメ。
  • 適切な電線を選択していることを示す。
  • 適切に施工、用いていることを示す。

製品全体のCEマーキング適合性の一側面として、適切な電線・ケーブルを適切に用い、製品における感電や火災等のリスクは許容できる程度に小さいかどうかが問われることになります。このことは製品全体の適合性を提示する上で重要であり、殆どの場合必須です。(感電、火災のリスクがそもそも極めて小さい、リスクがほぼ無い場合を除いて。)

単に、CEマーキング適合電線・ケーブルを使っているから問題ないというのでは、製品における感電や火災のリスクが許容レベルに低減されていることを示したことにはなりません。

製品に採用している電線・ケーブルがRoHS指令に適合しているかどうかは勿論、感電、火災、やけど等に関して、使用電圧・電流定格、耐電圧(試験電圧)、環境温度、難燃グレード等々が、リスクに応じて適切かどうか、配線状態、施工は適切かどうかが問われます。

また、EMCの観点から製品に接続される電線・ケーブルからのノイズの伝導・放射が基準値以下か、基準値以下のノイズに対して誤動作するかどうか問われます。

最終製品としての適合性をスマートに提示するには、以下の組合せで提示することが一般的であり、技術文書に含めます。

1)リスクアセスメントの記録(リスクアセスメントシート)

感電リスクを考慮しなければならない危険電圧を扱っているのでなければ、電線の耐電圧、絶縁などは、そもそも問題になりません。これは危険電圧に電線を接続しているかどうかだけではなく、電線・ケーブルの近傍に危険電圧が存在するかどうかです。
火災、やけどリスクに関しても同様です。発火に至る、高温を維持するに足りる危険な電気エネルギー、または発火源・熱源が近傍に存在するかどうかです。
各指令の必須要求事項と製品のリスクポテンシャル(危険源)を検討し、下記5)項で用いる規格を適切に選択するためにもアセスメントを実施します。
各指令は、リスクアセスメントの結果・記録を技術文書に含めることを要求しています。

2)カタログ、仕様書、認証品であれば認証書のコピー等、仕様定格、取扱注意事項、認証の範囲・条件など、必要な情報が記載されている資料

電線・ケーブルの仕様定格と使用条件などが適切で逸脱していないことを示すためには必要です。通常、電線・ケーブルをその一部に用いる製品を設計・製造するメーカーが、その設計、用途に適した電線・ケーブルを、自らの責任において選択し、最終製品の一部を構成します。使用電圧定格、耐電圧(試験電圧)、環境温度と電流定格、難燃グレード等々は、電線・ケーブルメーカーが単品としてそれぞれの電線・ケーブルの規格に適合しているものとして提示され、販売されており、また多くの場合、その認証書(のコピー)を電線・ケーブルメーカーから入手することができます。電線・ケーブルを用いる最終製品メーカーは、必要な特性を満たしているものとして電線・ケーブルを選択し購入するのであって、電線・ケーブルメーカーが実施済の、電線・ケーブルそのものに対する試験を繰り返す必要はありません。

3)重要部品リスト(用いている電線の仕様定格、適合規格、認証書の文書番号などの一覧)

通常、ひとつの最終製品のなかに様々な電線・ケーブルがその用途・定格仕様にもとづいて実装されているのであり、電気図面と関連してどこにどの電線・ケーブルを用いているのか、明確に関連付けて提示する資料が必要です。

4)電気図面

電線・ケーブルの実装状態、各部の電圧・電流、何に接続しているかなど、他の項目の資料と併せて提示するために必要です。各指令の要求としても、製品の内容を示す資料は技術文書に含める必要があり、電気図面はその一つとして、技術文書に添付します。

5)適合宣言しようとする最終製品に用いた規格に基づくテストレポート
(最終製品の評価レポートであって、ケーブル単品のレポートではない)

電線・ケーブルを用いる最終製品メーカーは、必要な特性を満たしているものとして電線・ケーブルを選択し購入するのであって、電線・ケーブルそのものに対する試験を繰り返す必要はありませんが、その選択が適切であり、また適切に用いている、適切に施工していることを提示できなければなりません。
その取扱い、配線、施工などについて適切であることを提示するには、一般的にこれらについての要求が記載されている規格を用いて評価し、レポートを準備します。逆に、電線・ケーブルがその特性を満足するのは、適切に用いられ、適切に施工されていることが前提条件になります。これらを確認するためにも、上記項目の各資料は必要になります。


カスタム仕様の電線・ケーブルについては、そのリスクに応じて、電線・ケーブル規格に基づく電線・ケーブル自身の構造検査、試験が必要(その方が結果的に確実で早いかもしれない)な場合も考えられます。

『自社製品はCEマーキングに適合している』として最終製品メーカーが提示しなければならないのは、適切な電線・ケーブルを選択し、その仕様上の制限事項、定格を逸脱せず、適切に取り扱い、施工しているかどうかです。言い換えれば、それが“技術文書”です。

技術文書は、指令の必須要求事項に適合していることを示す技術的内容を提示する文書一式であり、メーカーが作成し、保管、要求に応じて速やかに提示することが義務付けられています。


2018年09月17日

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