CE適合するには?|実務解説

CE適合するにはどうすればよいのでしょうか?
その答えはメーカーの中にあります。
以下、メーカーの実務を解説します。

CEマーキング自己宣言のアイコン
  1. CE適合とは

    何をもって「適合」といえるのかを説明します。

  2. 必須要求事項を満たす

    該当する指令・規則と必須要求事項を特定します。

  3. リスクを低減

    リスク低減と整合規格の活用について説明します。

  4. まとめ

1.CE適合とは

どうすればよいかの前に、CE適合とは具体的に何を目指すのかについて理解している必要があります。

まず、CEマーキングは、製品の自由な流通のための制度です。ただし、安全ではない物、危険な製品は市場に流通させないことは当然です。

入管検査は租税や禁止されている物資の入国を取り締まるもので、CEマーキングとは別の枠組みです。ただし、不適合として流通停止となった製品については、市場監視当局と税関が連携することはあります。

CEマーキングには、様々な指令・規則があります。それぞれに必須要求事項が規定されており、それらの必須要求事項を満たすことが求められます。

指令・規則は、例えば「玩具指令」のように製品ジャンルとして規定されているものもありますが、一方で「EMC指令」のように現象で規定しているもの、「RoHS指令」のように制限物質を規定しているものもあります。

CEマーキング関連指令・規則については、当社記事をご参考ください。

必須要求事項には、最低限の要件が規定されています。CEマーキングで一律に定められいるのではなく、指令・規則に関連するリスクによってそれぞれに定められています。

指令・規則は互いに排他的に定められているものではなく、多くの場合、ひとつの製品で複数の指令・規則に該当します。該当する指令・規則の必須要求事項は、重複する場合もありますので、該当する指令・規則について、包括的に必須要求事項を満たす必要があります。

該当指令・規則の必須要求事項を満たすこと

試験に合格することではない

整合規格は、指令・規則の必須要求事項を満たすためのひとつの方法として、任意に選択して設計の参考や評価・試験に用いるものと定められています。すなわち手段であって目的ではありません。

そして、製品が必須要求事項を満たしていることについて検証可能な技術文書一式を作成し、いつでも提出できるようにしておく必要があります。

なお、CEマーキングは、指令・規則の必須要求事項を満たせばよいだけではありません。該当する指令・規則それぞれにメーカーの責務が規定されており、遵守することが求められます。

2.必須要求事項を満たす

「CE適合」するとは、指令・規則の必須要求事項を満たすことと読み替えて差し支えないでしょう。

必須要求事項を満たすには、まずそれが規定されている指令・規則を特定することです。

それは、製品に関連するリスクと指令・規則がカバーしているリスクとを見比べる作業になります。

関連指令・規則を特定するためのサポートについては、まずこちらから

さらに、指令・規則どうしの関係性に注意して、製品に該当する指令を特定します。

先に触れたように、指令・規則は互いに排他的に定められていませんので、カバーするリスクが重複している場合があります。それぞれの必須要求事項と適用範囲をよく確認して、慎重に決定する必要があります。

指令・規則がカバーしていないリスクが製品にある場合、そのリスクについては一般製品安全規則(General Product Safety Regulation: GPSR)が適用されます。

GPSRでは、より抽象的に安全であることが求められ、これに応えるにはより一層高い力量が必要となります。

該当指令・規則を特定したら

CEマーキング適合宣言は、「指令・規則に適合している」と宣言するので、製品に該当する指令・規則を特定したら、以降は該当する指令・規則に対してどうか、という観点になります。

そこであらためて該当する指令・規則の必須要求事項を見ると、指令・規則には該当しても、それらの一部の必須要求事項には該当しないこともあります。

該当する指令・規則の、
該当しない必須要求事項は、該当しない旨説明できること。
該当する必須要求事項は、その要件を満たすこと。

ここで重要なことは、必須要求事項に関連するリスクが製品にあるか/ないかを純粋に判断することです。この判断に、リスクが小さい、低減されている等を含めると、本末転倒となり判断を誤りかねません。先走ってはいけません。

ヒューズやサーマルスイッチ、ガードなどあらゆる保護によってリスクが低減されているからといって、指令・規則とその必須要求事項が非該当になりません。それは、適合したら非該当になる理屈です。

必須要求事項をみたす、とは?

「必須要求事項を満たす」とは、関連する製品のリスクが許容可能レベルに低減されていることです。

ここでようやく、該当する必須要求事項について、製品に関連するリスクを許容可能レベルに引き下げるために、何をするかという話になります。

そこでまず、特定された製品関連リスクの中で、そのままでも十分に許容可能なリスクレベルであるものに注目します。これらは、そのままで許容可能と判断するのですから、特に何かをする必要はなく、判断の根拠を説明・提示すればよいです。

ここでもまだ、ヒューズやサーマルスイッチ、ガードなどあらゆる保護によってリスクが低減されているからといって、リスクは許容可能レベルであると判断するのは早計です。リスク源そのもののリスクをまず評価する必要があります。先走ってはいけません。

製品に関連するリスクはリスクとして存在し、そのままで許容されるリスクはそのままでよく、そのままでは許容されないリスクは許容可能なリスクレベルに低減することにより、必須要求事項を満たし、適合と言える状態になります。

ここまでまとめると、

  1. 指令・規則のくくりで、該当しない指令・規則を決める。
  2. 該当する指令・規則の中で、該当しない必須要求事項を決める。
  3. 該当する必須要求事項の中で、許容可能なリスクレベルであるものを決める。
  4. 許容されないリスクについて、リスク低減方策を実施する。

「しなくてよいこと」を最初は大まかに、だんだんと細かく決定していきます。

スマートな開発設計

ここまで、メーカー自身で調査・検討、そして判断するものです。この判断プロセスが、CEマーキングでいうところのリスクアセスメントであり、技術文書に含めることが求められています。

該当する指令・規則の技術文書に関する要件、ならびにブルーガイド4.1.2.2のフロー図を参照ください。(当社記事「技術文書(テクニカルドキュメント)に何を含めるのか」もご参考ください。)

指令・規則を特定するためのコンサルティング

メーカーは指令・規則の特定について責任があります。決定のためのアドバイスは可能です。

指令・規則カバーするリスクと、製品に関連するリスクとを見比べ、判断することが必要です。

なぜその判断をしたか、第三者が検証できる形で技術文書に含める必要があります。もちろん設計に反映されていなければなりません。

メーカー自身でできるようにサポートします。

3.リスクを低減する

この記事の冒頭からここまで、「しなくてよいこと」を仕分けする(リスクアセスメント)プロセスでした。ここからは、残された「許容されないリスク」をどのように低減するかという話になります。

製品に許容できないリスクがないこと(そして公式に説明できること)、という結果が求められており、それをどう実現するかについては各メーカーの裁量であり、腕の見せ所、競争領域です。

CEマーキングはメーカーの自由な開発設計を阻害する意図はなく、最低限の必須要求事項を定めているだけです。

「そのままでは許容されないリスク」を低減することは当然です。どのようにリスクを低減するかは、メーカーの腕の見せ所です。

スマートな方法

リスク低減する手法、そして低減できていることを提示する手法を含めて、「整合規格」を用いることができます。

整合規格とは、指令・規則ごとに必須要求事項をカバーし、それぞれに適合の推定を与える技術仕様です。その規格番号は予め欧州官報で公表されています。整合規格を用いるかどうかは任意であり、部分的に、あるいは複数を用いることができます。

整合規格の用い方

  • 整合規格は、画一的な合否判定基準ではありません。法規でも、指示書でもありません。
  • 用いようとする整合規格、あるいはその一部を決定するには、どの必須要求事項をカバーしているか確認し、リスクアセスメントと併せて判断します。その上で、設計、評価・試験の参考にします。
  • 整合規格は標準的な技術仕様・試験仕様が記述されているものです。個社個別の製品について作成されたものではありません。実際の製品の参考にして問題ないかどうかどうか、判断する必要があります。それが適切であれば、より厳しい試験レベルの採用、あるいは試験方法の変更や補足的な評価を考慮する場合があります。
  • 整合規格には製品にはマッチしない要件が記述されていることもあります。
  • 整合規格がすべてのリスク、リスク側面、必須要求事項をカバーしているとは限りません。適合の推定が部分的に除外されている整合規格もあります。
  • 整合規格は、改正したり統廃合される場合があります。

整合規格はあくまで参考にするものです。しかし適合の推定を与える技術仕様です。その評価・試験レポートを技術文書に含めれば、「関連する必須要求事項を満たしている」との提示になります。

そうすることで、適合についての細かい説明は整合規格を参照することになり、不要となります。ただし、製品に関連するリスク、前提条件、仕様、カバーする必須要求事項と辻褄があっていなければ意味がありません。

整合規格はツール。正しく用いてこそ。

整合規格は、指令・規則の必須要求事項への適合への推定を与える技術仕様です。スタンダード=標準であり、有識者、産業界、消費者など多くのステークホルダーの知見が織り込まれた、極めて有益な情報の集積です。

一例として、ヨーロッパ向けの機器・装置を設計するとき、欧州の電力配電網の電力品質を前提としなければなりません。そのような製品の整合規格は、関連する規制等を考慮して作成されています。
電圧、電圧変動、ドロップ、過電圧、過渡電圧、周波数、周波数変動、アース接続、三相不平衡率、高調波(EMC)、フリッカ(EMC)、瞬停(EMC)、等々、ひとつの規格書に網羅されているとは限りません。

参考になる部分は、自社の設計基準に取り込むことをお勧めします。

リスクを低減するときに、新たなリスクが発生しないか、既存のリスクが増大しないか、リスクアセスメントに立ち返って再評価する必要があります。

最終的に、製品に関連するすべてのリスクが許容可能なリスクレベル以下であることを確認できれば、該当する指令・規則の必須要求事項に照らして、その指令に製品は適合しているといえます。

もちろん、技術文書の作成、適合宣言書の作成、CEマーク等の表示、その他指令・規則に規定されているメーカーの責務を履行しなければなりません。

4.まとめ

「CE適合」についてのイメージは変わったでしょうか?

CEマーキングはどのような製品ならよいのか、具体的には定めていません。画一的な合否判定基準はありません。

メーカー自身が、指令・規則に製品を適合するには具体的にどうするべきかを決定し、設計・製造することが求められています。

以下の当社記事もご参考ください。

CE取得するには?|実務解説 CE認証するには?|実務解説

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