➧ 目 次
- トピックス
- 目次
- CEマークの表示
- 適合宣言書
- メーカーの責務
- 技術文書
- 機械のCEマーキングの全体像(メーカーにとっての)
- CEマーキング適合にかかる費用と期間
- リスクアセスメント
- 無条件に適合を宣言するのではない
- どうしたらいいの?!
メーカーのための
機械のCEマーキング
適切で安全に使用できる機械を設計・製作する取り組み
TOPIX – 機械のCEマーキング
- CEマークは公式からダウンロードする。
- EU内代理人が必要な場合、契約する。
- 第三者が適合を検証可能な技術文書を作成する。
- 製品用途・仕様から図面、テストレポートに至るまで一貫性が必要。
- 適切に必要な試験を実施する。
- テストプランで試験の費用と期間を計画する。
- リスクアセスメントでテストプランを策定する。
- 製品の範疇を明確に定義してリスクアセスメントを開始すること。
メーカーのためのCEマーキング
- トピックス
- 目次
- CEマークの表示
- 適合宣言書
- メーカーの責務
- 技術文書
- 機械のCEマーキングの全体像(メーカーにとっての)
- CEマーキング適合にかかる費用と期間
- リスクアセスメント
- 無条件に適合を宣言するのではない
- どうしたらいいの?!
どうしたらいいの?!
- 指令・規則に定められたメーカーの責務を理解し、担うこと。
- 製品仕様から技術文書、その後の対応に至るまで一貫していること。
- CEマーキングの枠組み、リスクアセスメントの概念を正確に理解し活用すること。
- 規格合格は手段であって、目的にしないこと。
本稿は、機械のCEマーキングについて説明していますが、私見を含んでいます。 あくまで参考情報として扱う必要があります。利用者あるいは第3者に損害やトラブルが発生しても、当社は損害賠償その他一切の責任を負いません。 本稿が参照している法律、規則、指令・規則等の原文、最新情報を必ず参照し、個社・個人の責任においてご判断ください。本稿は、個別の事案に対する理解の一助となることを考慮して作成されたものです。決定的な解釈・判断は、欧州連合の裁判所のみが可能です。
その他様々な資料【有償/無償】
技術資料ご注文ページCEマークの表示
機械装置にCEマークを表示します。
多くの場合、「装置銘板」にCEマークを表示されていますが、別々に表示しても構いません。視認しやすく、恒久的な方法で表示されていればよいです。
CEマークは公式サイトからダウンロードできます。
公式サイトGIF, PNG, JPG, AI, EPS フォーマット
CEマークを機械装置に表示することで、この機械装置は、CEマーキングに関連するすべての規則・指令に適合していることを表します。
機械装置は、多くの場合、【機械規則(指令)】、【EMC指令】、【RoHS指令】に適合していなければなりません。その他関連する指令・規則がある場合は、それらにも適合する必要があります。
自社の機械装置がどの指令・規則に該当するかは、メーカーの判断です。
メーカーは、CEマーキングしようとする機械装置に関連するリスクを把握し、それらのリスクを扱っている指令・規則とその適用範囲をよく調べて、該当する指令・規則を決定しなければなりません。
指令・規則でカバーされていないリスクが機械装置にある場合、そのリスクについてはGPSR(一般製品安全規則)を適用する必要があります。
指令・規則間の関係性に注意
指令・規則の適用範囲は排他的に定められていません。一般的には複数の指令・規則がひとつの製品に該当します。
例えば電気安全、電気のリスクについては、多くの指令・規則が扱っています。機械規則(指令)、無線機器、医療機器、
その他いろいろな指令・規則が電気リスクをカバーしていますが、これらすべてに適合しなければならないわけではありません。
これらは、その適用について、「他のより具体的な指令に該当する場合は適用されない」、「○○については△△指令の必
須要求事項を適用(△△指令そのものではなく、その必須要求)」など、指令・規則に細かい条件が規定されていますので
よく確認する必要があります。
機械規則(指令)に該当する製品は、低電圧指令は適用されません。(機械指令ガイド§222参照)
その他の指令・規則(ATEX指令、ガス機器指令、圧力機器指令、等々)との関係にもよく注意する必要があります。
半完成機械
半完成機械を
市場に出す場合
、機械指令・規則に定められている「半完成機械」は、CEマークを表示しません。
しかし、適切で安全に組み込めるものでなければならず、組込宣言書と組込指示書を作成しなければなりません。
どの指令・規則に該当するかを検討しようとする時点で、製品に関連するリスクは何があるかを把握している必要があります。“製品ジャンル”の定義で該当指令・規則が排他的に特定できるものではないことに注意してください。
適合宣言書
アシストCE株式会社
CEマーキングでは、機械装置について適合宣言書を作成することが求められています。誰かが発行してくれるのではありません。自分で作成するのです。(サポート可)
- 適合宣言する製品を特定できる情報(ユニークなモデル番号、xxシリーズなど曖昧にしない。)
- 宣言者を特定できる情報(完全な会社名、完全な住所)
- “自身単独の責任(sole responsibility)” で宣言する旨
- 適合を宣言する指令・規則(例:2023/1230/EU、2014/30/EU、等)
- 用いた整合規格の参照番号(例:EN 60204-1、EN 55011、等)
- その他、指令・規則の宣言書についての要件を参照すること。
- 該当する各指令の適合宣言書についての要件は、概ねどれも似通っていますが、少し異なる場合もあります。網羅的に要件をカバーし、1枚にまとめること。
半完成機械の場合
機械指令・規則に定められている「半完成機械」を
市場に出す
、場合は、「組込宣言書」についての要件を確認し、「組込宣言書」を作成しなければなりません。
適合を宣言する指令・規則については、漏れなく記載されている必要があります。該当する指令・規則については、前のセクション「CEマークの表示」で述べた通り、メーカー自身によって適切に決定しなければなりません。(サポート可)
適合宣言書はEUの公用語で作成されなければなりません。
CEマーキングとは?概要説明 —
CEマーキングの勘どころ
CEマーキング適合過程を7つに分類 —
CEマーキング適合サポートメーカーの責務
CEマーキングは、機械装置を適合するだけでよいのではありません。指令・規則に定められた、メーカーの責務を遵守する必要があります。
機械装置に適用されるすべての指令・規則に定められたメーカーの責務は、概ね似通っていますが、少し異なる場合もあり、網羅的に遵守しなければなりません。
- 適合する製品を設計・製造し、技術文書を作成すること
- CEマークを表示すること
- 適合宣言書を作成すること
- トレーサービリティを確保すること(メーカー名称、ユニークなモデル番号、製造番号など)
- 市場監視当局に協力すること
CEマーキングの本質
CEマーキングは、メーカーに対して、高度な、難しいことを求めているのではありません。自由流通のための制度です。自分達の製品は適切で安全に使用できると宣言し、会社名を名乗ってください。これが自己宣言です。
自己宣言とは、認証の対極の概念として扱われがちですが、CEマーキングにおいて認証とは、“リスクが高い”とクラス分類される製品に関して、利害関係のない、透明性の高い組織の関与を得て自己宣言してくださいというものです。自身単独の責任において適合宣言しなければならないことに変わりありません。
EU内代理人
規則 2019/1020の規定により、殆どのCEマーキング製品には、EU内に住所を持つ自然人または法人の名称・住所を表示しなければなりません。
EU内代理人は、メーカーによって任命され、契約することにより、規則に定められた任務を果たす責任を負います。その任務とは、市場監視当局からの正当な要求に対し、適合宣言書、技術文書を提供することです。
EU内に拠点がある、輸入元が任務を負ってくれる(その旨が契約に含まれている)のであれば、別途の代理人は必要ありません。そこの名称、住所を表示します。
ドイツ―ミュンヘン Authorised Representative
ステージ7|CEマーキング正式代理人契約サービス技術文書
ルティングのご案内 | アシストCE株式会社
メーカーの責務に規定されているように、メーカーには技術文書一式を作成する責務が課されています。この責務は、たとえば代理人等に転嫁することはできません。誰かに委託するにしても、メーカーの責任の下で作成されなければなりません。技術文書を作成することは、指令・規則に定められたメーカーに固有の責務です。
技術文書は、指令・規則に製品が適合していることを、第三者が検証できる形で情報、各種資料をまとめた一式です。
該当指令・規則に技術文書に関する要件が規定されています。技術文書に関する要件は、概ね似通っていますが、指令・規則によって若干異なる場合がありますので、よく確認する必要があります。
尚、各種図面やテストレポートを技術文書に含めることは当然ですが、ただ機械的にこれら資料をファイリングすれば良いというものではありません。
- 該当指令・規則の選択が機械装置のリスクに照らして適切か
- 該当指令・規則の必須要求事項の適用/不適用が機械装置のリスクに照らして適切か
- 適用された必須要求事項、解決すべきリスクについて、整合規格を参考にして設計、試験したか、あるいは別の解決方法を採ったか。
これらについて第三者が検証できる資料、各種図面を含めるということです。
それらの資料や各種図面は、設計へのインプット、ならびに、設計のアウトプットです。CEマーキングだからといって、わざわざ特別に作成するものではありません。
技術文書の英訳(市場監視当局が理解できる言語への翻訳)
全てを英訳する必要はありません。技術文書は、原則的に設計者及び製造者が理解できる言語で作成されているべきものであり、そうでなければ根本からオカシイことになります。
一方で、技術文書は、市場監視当局が理解できる言語で作成することが求められています。よって、主要な文書、リスクアセスメント、テストレポート等は、英語(あるいは仕向け先当局の言語)が必須ですが、末端の資料まですべて翻訳する必要があるかどうかはバランスをとる必要があります。
製品の適合 = 「リスクに基づいて、必須要求事項の適否を技術文書で提示できること」
規格合格は手段、整合規格はツール
「技術文書=合格レポート」ではありません。レポートは技術文書の一部を構成するものであり、そのひとつのレポートが何のリスクを確認しているのかについて、リスクアセスメントによって説明されている必要があります。“適切”とは権威ある組織が発行したかどうかではなく、製品に関連するリスクを設計者が適切に認識し対処しているかどうかです。
機械のCEマーキングの全体像(メーカーにとっての)
CEマーキング適合とはどういうことか?製品を適合させることのみクローズアップされていることが多いですが、単に試験に合格することのみをゴールにしてはいけません。ここでは俯瞰して説明します。
表1.適合プロセス (=ほぼ企業活動)
前段階
設計・製造、各種資料準備
適合確認プロセス
評価・試験
アフター
市場対応、変更対応
「評価・試験」のことを「CEマーキング適合サポート」というのは間違いではありませんが、それはCEマーキング適合に至るまでにメーカー行うべきことの全てを指しているのではなく、「CEマーキング適合」を「評価・試験」だけだと勘違いしてはいけません。
製品を適合させることを含めて、メーカーの責務を果たすことが、「CEマーキング適合」です。より正確な言い方として、製品をCEマーキングに適合させるだけでは、CEマーキングの指令・規則の製造者の責務を果たしていることになりません。
CEマーキングの製造者の責務とは? — 指令・規則に書いてあります。
指令・規則に規定されている「製造者の責務」を必ず確認しなければなりません。製品を適合しなければならない ─ その一点だけではありません。
上表は大雑把に3段階にわけた説明表ですが、これを少し細かく展開した例は下表のようになります。
下表は、指令・規則、または規格書等で規定されているものではありません。それらを具体的な企業活動に照らし合わせた例としてここに提示するものです。
表2.CEマーキング適合プロセスの展開例
前段階
基礎を身に付ける段階 —
Research & “Design”の前半
- CEマーキングの枠組み
- 指令、規則の理解
-
- 製造者の責務
- 自己宣言の意味
- 整合規格の概念
- 整合規格の内容
設計・製造フェーズ
適切で安全に使用できる製品とは何か ―
実際のものづくりに反映する段階
- 設計インプット
-
- 製品仕様
- 部品資料
- 設計アウトプット
-
- リスクアセスメント
- 各種図面
- 部品手配リスト
- 部品発注仕様
- 受入検査手順
- 組立指示・手順
- 出荷検査手順
- 取扱指示書
適合確認・宣言フェーズ
その後の運営を含め、メーカーとしての責務を果たせるか —
自己確認する段階
- 評価・試験計画
-
- 各種資料、評価・試験手順書
- 試験機器の導入
- 外部試験所の手配
- 評価・試験の実施、レポート作成
- 技術文書の編纂
-
- 設計インプット/アウトプット資料の整理、追加
- 現地代理人
- 総点検、適合宣言
維持フェーズ
宣言後、販売後の管理段階
- トレーサービリティ確保
-
- CEマーク、メーカー名、モデル名、製造番号等
- 出荷管理
- 変更対応
-
- 指令・規則、規格の改定
- 部品の生産終了、設計変更、仕様変更など
- 商流、社名、住所変更など
- 市場監視当局への協力
CEマーキング適合にかかる費用と期間
本稿のこれまでの説明と併せて、「CEマーキング適合」の”費用”といっても、齟齬が生ずることを改めてご確認ください。
“いくらかかるか”の前に、“何をするか”を決めること
一概に「CEマーキング適合費用」といっても、何をどこまで含むかによって大きく異なります。
A)「CEマーキング適合費用」 = 全体を意図している場合
たとえば表2にもとづいて点検するなど、現状の自分たちの実力を考慮し、改めてまず何をするか決定して下さい。
指令・規則および規格をよく知ることは、CEマーキングではなくても役に立ちます。
内容によっては「わざわざ予算化することかどうか」も考慮に含めて検討されるとよいでしょう。
- 具体的な相談、質問、調査を依頼したい事項がある ➡ スポットでコンサルティングを依頼
- 期間、プロジェクトで契約も可能
評価・試験にどれほどの費用が必要かについては、次項を参照してください。
コンサルティング費用を抑えるには?
とにかく自分達でよく調べ、よく勉強することです。それがCEマーキング「自己宣言」の第一歩です。
コンサルティングを受けようとする前に、質問・相談内容をしっかりまとめてください。しっかりまとめようとして調べれば、それだけで疑問を解消し、確証をもてることが多々あります。
他方、効率的に、正確にCEマーキングについての理解を進めるため、または時間がない場合には、コンサルタントに相談することによって、短期間で正確に、質の高い理解をすることができ、結果的に全体のコスト、期間を節約することが期待できます。
B) 「CEマーキング適合費用」 = 評価・試験だけを意図している場合
「CEマーキング適合」について不正確なイメージを刷り込まれていませんか?
何か試験して合格すればよいのでは?
違います、それはダメです。
「試験合格=適合」というような考え方は、製品に関連するリスクと、指令・規則の必須要求事項を度外視しているか、正しく理解していません。整合規格を適用しても、それで製品のリスクをすべてカバーできているか、メーカーは確認する必要があります。(ブルーガイド セクション4.1.1 脚注179参照。)
メーカー単独の責任、技術文書を作成するというメーカーに固有の責務の下、製品が適切で安全に使用でき、該当指令・規則の必須要求事項を満たしていることについて提示するという一貫した目的において、必要かつ適切な“確認結果(レポート)”を技術文書に含めることが合理的です。
CEマーキングは受験制度ではありません。画一的な合否基準も存在しません。
次のフロー図は、ブルーガイドに掲載されている整合規格の役割を示しています。
絶対に頭に入れてください。
整合規格に合格することと、必須要求事項に適合していることをつなげるのはリスクアセスメントです。整合規格の使用について、製品にとっての正当性が示されている必要があります。
整合規格は受験問題ではありません。必須要求事項の一部について、適合の推定を与える技術仕様です。メーカーが参考に使用するものです。
「リスクアセスメント」の広義の意味を理解すること。整合規格は法律ではなくメーカーを助けるツール。
「CEマーキング適合」について齟齬があるまま物事を進めるとどうなるか?
- 「試験合格」が該当指令・規則の必須要求事項への適合を担保するものと勝手に思い込み、必須要求事項について、漏らさず正確に確認できていない。
- CEマーキング適合したような気にはなっている。誤解が持続、拡散する。
- ある時点で、技術文書がないと指摘される。“技術文書”が技術文書として見做されない。
- この製品がどうして適合なのかと問われても、試験に合格した、と必須要求事項が抜け落ちた回答をする。
- 試験の意図目的が自己宣言の下での適合性の確認ではなく、他者による認定、試験合格にすり替わっている。
- 正しいアセスメントによって本来不要な試験であっても、“必要経費”と思い込んでしまう。
- 規格改定、仕様変更、設計変更などに際して、無条件に“再試験”と考えてしまう。
- 一旦合格した設計を適切に変更できない。よりシンプルで安全性に勝る設計をする動機が働かない。
- 本稿を最初から丁寧に読み直す
- 本稿で案内されているリンク先と、アシストCEのウェブページをゆっくりと時間をかけて読む
- 指令・規則、ブルーガイドの原文を参照する
できるだけ早く、一次情報に基づいて正確に理解してください。
「CEマーキング適合」について正確に理解した上で、評価・試験にかかる費用
それでは、純粋にCEマーキング適合に関する評価・試験にかかる費用はどれ程になるか —評価・試験の費用と期間は、対象製品の複雑さと関連するリスク、メーカーの力量に大きく依存します。
評価・試験の見積に関連するポイント
製品の用途、リスクなど
指令の該否、用いようとする規格の選択、選択した規格の中でのクラス分けと実施する試験の適否に影響します。
- 大まかには無料見積
- ひとつの試験が必要かどうかは、コンサルティング
製品の設計、部品選択、材質など
“寿命”の評価が必要となる場合、期間も費用も大きなものとなります。
- 評価、試験並みに資料を精査しないとわからない
- 評価によって適用外にならなかった試験は別途見積またはあらかじめ含まれている
特殊な条件:構成オプション、動作モードの数、試験セットアップに要する時間、立上げ立下げに要する時間、危険性、試験場所、ワークピースの取扱、等々
試験点数、試験回数、試験時間に大きく影響します。
経験則で概算は可能ですが、あくまで概算です。正確な見積をするためには、正確なテストプランが必要です。
一概にCEマーキング適合、純粋に評価・試験にかかる費用といっても、千差万別です。
経験則で大体これくらいという概算見積は可能でも、大きく外れる可能性、外れる場合にどれほど追加が必要か、については考慮に含まれません。そこまで考慮して見積検討することは、製品と関連資料を精査し、製品評価をすることとすでに同義だからです。
“無料見積”でもある程度の大まかな条件付けによって見積の算定が行われるため、製品の概要情報等が求められ、そしてそれなりの見積額が出てきます。上表「評価・試験の見積に関連するポイント」にあるような情報がなくても、です。おそらくは、“おことわり”、“条件”などが付記されているものと思います。
一般的なCEマーキング適合の確認プロセスでは、その適合確認プロセスの前に、本稿で説明するようなリスクアセスメントが実施され、参考に用いる整合規格もすでに決定され、規格の要件を十分に確認済で、上表「評価・試験の見積に関連するポイント」はメーカー自身が把握していることが必要です。
つまり、見積もりの根拠となる「テストプラン」を策定できるのはメーカーです。技術文書を作成する責任の下、製品の仕様、前提条件、該当指令・規則とその必須要求事項、リスクアセスメント、用いる整合規格など一貫した目的の中で、評価・試験をどのようにするかをメーカーが決定するのです。他人に委ねるものではありません。(サポート可)
評価・試験プロセスに移行しようとする段階で、すでに合格するように設計されていることが前提となります。
合格するように設計するとはいっても・・・
どうすれば合格か
ではなく
何がどう合格なのか
目的は合格
ではなく
必須要求事項をどのように満足したか
- その評価・試験を実施することで、何指令・規則のどの必須要求事項への適合を実証しようとしているか。
- その評価・試験は、製品の構造、動作原理、諸条件において、目的に適っているか。
- その評価・試験を適切に実施することはできるか。(人員スキル、設備、適切な準備)
- その評価・試験を実施することに、危険はないか。
- その評価・試験を実施したことで、製品はどうなるか、サンプル、予備部品はいくつ必要か。
- その評価・試験についての合否判定に必要な情報は出揃っているか。
- その評価・試験の結果は、合格/不合格を容易に予想できるか。
- その評価・試験を外部に委託する場合に、申し伝えるべき事項に抜けがないか。
- その評価・試験を外部に委託する場合に、費用対効果は妥当か。
サポートはこれらを代行することではありません。これらを行うメーカーを支えることです。
見直し作業のためには、- 該当指令・規則とその必須要求事項の内容を参照する。
- 参考に用いる整合規格の内容、規格内での分類、適用する評価・試験を参照する。
- 評価・試験を安全かつ適切に実施するための段取りを想定する。
- 自社で実施する場合と社外に委託する場合の費用対効果、リスクを整理する。
ことが必要です。(サポート可)
規格は鵜呑みにして従うものではなく、参考にするものです。
その通りに設計することが、必須要求事項をみたし、機械装置にとって適切なのか検討すること。
例)EN60204-1には次の要件があります。(意訳)
『電源遮断器の操作は、容易にアクセスでき、0.6m~1.9mの高さに配置されるものとする。1.7mまでが推奨。(5.3.4)』
これに従い、床からの高さを測定して合格/不合格とするのが試験者の役目です。しかしメーカーは機械的に判断するのではなく、あらゆる状況を想定して配置を決定しなければなりません。そのためのひとつの参考情報が、成人が歩み寄って操作するなら0.6~1.9mならまず問題なく操作できるであろうし、できれば1.7mまでにするほうが良いということです。これを無条件に受け入れるのではなく、機械装置にとってそれではマズイという特別な条件がないかどうかよく考える必要があります。
電源遮断器の操作の、機械装置にとっての重要度、頻度ももちろん考慮に含める必要があります。
「製品は適切で安全に使用できること」 に一貫してつながっていること。
製品の用途、使用目的、適切な仕様設定、リスクアセスメント、テストプラン、試験・評価、レポート、技術文書、適合宣言、その後の対応、すべてつながっています。
全体を俯瞰して
全体的にあれやこれや、すべきことが、カチッ、カチッと嵌ってきたのではないでしょうか。
- 適切で安全に使用できる製品を設計・製造することは、CEマーキングではなくてもメーカーとして当然のことであり、説明責任についても同様である。
- このことは法規で明文化されていなくても、市場から求められることである。
- EUは法的枠組みを整え、施行している。この法的枠組みは汎用性が高く、メーカーとしての一定の責任を果たすために、だれもが借用できる。
- 「そのためにどうすべきか」は、個社、個別の製品で異なっていてよく、メーカーが自由に競争する領域である。
- 整合規格を運用でき、適合を推定できる妥当な技術的仕様を利用できる。
- 市場に対し堂々宣言する。
- そうでない製品とは区別されたい。
参考情報(かなり大雑把な)
評価・試験にかかる費用概算:シンプルな生産機械またはツール、2mx2m、モーター数個
- 製品安全(機械安全と電気安全):100万円程度(あるいはもっと)
- 出張EMC試験:100万円程度(あるいはもっと)
これを 出発点(仮)とします。ここまでかからない設計ができている(リスクが十分に小さい)か、もっと大規模で複雑、様々なリスク源が内在するか、用途、使用場所等によって、額面は大きく変わります。
保護しているから安全 ➡ その保護の有効性、信頼性の検証が必要
リスクアセスメント
技術文書に含めることが規定されており、評価・試験、整合規格、該当指令・規則の選択の理由となるリスクアセスメントは、CEマーキング適合を縦貫する重要な概念です。
これは、メーカーの自由な開発設計と一定レベル以上の安全水準を担保しつつ、製品を流通させる仕組みの核心です。
危害のひどさと発生率を考慮するのはリスクアセスメントメソッド(方法論)です。
CEマーキングでのリスクアセスメントは、製品に関連するリスクと指令・規則の必須要求事項との関連を明らかにした上で、それをどのように解決するか、そのためにどのような規格を選んで参考にするかを決定するプロセスです。
絶対に必要なプロセスであり、その内容は技術文書に含めることが規定されている
その過程で、関連するとみられるリスクは、すべて一旦俎上にのせ、- 指令・規則とそれらの必須要求事項の適否をアセスメントすること、
- そのまま許容可能なリスクレベルであるなら、そのことについて技術文書で述べること、
- リスク低減方策として整合規格(あるいは整合規格の一部分)が製品にとって適切なら採用してよいこと、
そして実際にリスク低減方策が有効で信頼性が十分であるか確認すること、
それらの内容を技術文書に含めることが求められています。
試験だけするものではない
このことを理解しているかどうかが、CEマーキング適合プロセスを順当に進めていくことができるかどうかに大きく関わっています。
CEマーキングには画一的な合否判定基準はありません。この製品にはこの試験、という画一的なルールもありません。誰が
メーカー自身が
助言やサポートを受けることはできますが、決定するのはメーカー責任です。
どうやって
適切なリスクアセスメントによって
CEマーキングでは、リスクアセスメントによって、必須要求事項の適否、利用する規格、実施する評価・試験を決定します。
当社の関連記事をご参考ください。
メーカーのためのCEマーキング基礎概要 ー 何から始めるか | アシストCE株式会社 機械指令の必須要求事項(一般原則)を正確に理解する | CEマーキングの重要なエッセンス | アシストCE株式会社
CEマーキングにおけるリスクアセスメント
リスクアセスメントフォーム提供/ワークショップ開催
概算見積を受け取ったら?
実は、概算見積もりというものは、多くの場合、経験に基づくだいたいの条件を付けたリスクアセスメントが、無償の範囲でおこなわれているものです。
本来の意味での見積は、本稿で述べてきたように、製品と関連資料をしっかり精査しなければ算出できるものではありません。製品と関連資料を精査するということは、とりもなおさず、評価業務に着手していることになります。すなわち本来は有償です。
どのような評価・試験を実施するべきかについては、CEマーキングでいうところのリスクアセスメントに基づきます。この判断はメーカーに課された固有の責務であり、外部の助言を受けることはできますが、最終的な決定はメーカー自身が行う必要があります。(サポート可)
概算見積書
総額 200万円
機械指令適合サポート
100万円
EMC指令適合サポート
100万円
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ーーーーーーーーーーーーーーー
あなたが受け取った「概算見積書」は、おそらく、無償でリスクアセスメントを簡易的に行った結果としての概算です。”おことわり”や”条件”が記述されているかもしれません。
自社内に判断軸(=リスクアセスメントとその結果)がなければ、「簡易的な無料見積」と条件の妥当性を評価することは難しいでしょう。
見積の条件が妥当かどうか、追加費用が必要となる可能性を見通すためにも、
メーカー自身が製品に関連するリスクと実施依頼しようとする評価・試験の内容を理解していることが不可欠です。
見積書
規格XXXX、○○試験除く
XXX 万円
規格XXXXの○○試験
XXX 万円
規格XXXXの○○試験
XXX 万円
規格XXXX、全適用
XXX 万円
メーカー自身が製品に関連するリスクを把握し、実施する評価・試験を理解した上で設計・製造する。これが、”認証”かどうかを問わずあらゆる製品に求められ、メーカーの責務として課されている自己宣言の本質です。
CEマーキングにいくらかかるか — リスクアセスメント次第です。
無条件に適合を宣言するのではない
CEマーキングは、製品について包括的なリスクアセスメントを実施し、あらゆる状況を想定して「適切で安全に使用できる」製品を設計・製造することが求められます。しかし、一定の条件付けを伴うことは当然です。
それは、リスクアセスメントの最初のステップ、「制限事項」です。
「仕様」も含まれます。仕様にはユーザーの要望も含まれる場合もあります。
「制限事項」、「仕様」は責任範囲を決定するものです。
「合理的に予見可能な誤使用」と併せて、リスクアセスメントの根拠であり、メーカーが明確にしなければなりません。
適合の説明、評価判定やリスクアセスメントの根拠として、技術文書に含め、適切に参照される必要があります。
仕様書(ユーザーとの合意事項)や取扱指示書(ユーザーへの警告、注意喚起)に、この観点から必要な情報が含まれていなければなりません。
整合規格はメーカーを助けます
-
明確にすべき仕様項目などについて、規格が前提にしている条件から考慮できます。
-
設置接続する箇所の過電圧カテゴリ、ユーザーが要求している過電圧カテゴリはいくらか。過電圧カテゴリはいくらで設計するとよいのか。
機械装置に取り付ける電装品に対してどれ程の過電圧カテゴリを要求するべきか。
(EN IEC 61010-1は、過電圧カテゴリⅡを主に扱い、ⅢとⅣは付属書で扱っている。)
- 規格は過電圧カテゴリを指定しているのではなく、過電圧カテゴリに見合った設計を要求している。しかし、EN IEC 61010-1を適用するような製品の過電圧カテゴリはⅡであることが“標準的”であるとわかる。
-
-
規格で扱われている“仕様”から逸脱している場合
製品にとってその規格がマッチしているかどうかよく確認した上で、そのような逸脱は、値上げ/値下げ、強みをアピールする絶好のポイントです。
-
規格 EN 60204-1のAnnex B
附属書B 機械の電気設備に関する照会フォーム
この照会フォームを使用することで、機械の電気設備の適切な設計、適用、および利用(4.1参照)を可能にするために、ユーザーとサプライヤーの間で基本条件および追加のユーザー要件に関する情報交換を容易にすることができます。特に、現場の状況が一般的に予想されるものと異なる場合に役立ちます。
附属書Bは、量産機械の内部チェックリストとしても使用できます。(参考)
このAnnex Bは、ユーザーとメーカー間の仕様決定、リスクアセスメントの前提条件、制限事項の決定に活用することをお勧めします。
リスクアセスメントは網羅的に行い、考慮すべきリスクについて全て考慮されている必要があります。従って、その基礎、根拠となる「前提条件」に、漏れ・抜けがあってはいけません。
もし、漏れ・抜けがあると・・・- リスクアセスメントから抜け落ちる。
- リスク低減方策に反映されない。あるいは別のリスク低減方策によって新たに発生するかもしれないリスクを見落とす。
- そのリスクをカバーする規格を参考にせず、他の規格で合格したレポートだけが揃う。
- あるいは規格でそのリスクをカバーしていても、正しく評価できない。
- それなりに“合格した”記録は残るが、リスクは解消されていない。
- 技術文書の内容が不十分となる。解消されていないリスクに触れていない。
- にもかかわらず適合を宣言し、CEマークを表示する。
- 単なるミス、技量不足にとどまらず、偽装や悪意を疑われる。
製品の仕様、前提条件から、技術文書、適合宣言、その後の責務履行に至るまで一貫し、網羅していること。
フォーム提供/ワークショップ開催
どうしたらいいの?!
適切で安全に使用できる製品を設計・製造し、技術文書を作成することは、メーカーに固有の責務です。つまり、それをするのがメーカーです。
過去に適合宣言したもの、今現在適合を進めているものであっても、本稿で説明するような、一貫性、網羅性に欠けていると思われるならば、まず見直しをかけましょう。
見直しの結果、重大なリスクが発見されたなら、問題が表面化する前に適切な対応をとる必要があります。
軽微なリスクもいくつか見つかるかもしれません。
また、技術文書として不十分であることがわかるかもしれません。気付いたことがあれば適切に更新しましょう。
次回の開発設計に活かすためには、このような蓄積が実は大切です。
一般にはそれが簡単ではないからこそ価値があり、だからこそメーカーです。
CEマーキング自己宣言のアシスト
遠慮なくお問い合わせください。ご要望に合わせて柔軟にサポートします。
どう
したら
いいの?
CEマーキングは、様々な要件を定めていますが、製品に対して個別具体的な指示を出すものではありません。
要件を満たすために、何をするか — それは各メーカーの自由であり、競争する領域です。
指令・規則をよく読んで、自社及び自社製品に照らし合わせ、具体的に何をするか自分で決めることです。
設計をどうしたらよいか ― “こうすれば適合”という画一的な方法や基準は存在しません。
リスクアセスメントに基づいて、製品に合う規格を選び、参考にすることです。規格書はお助けアイテムであり、法規ではありませんが、「整合規格」は必須要求事項の一部分一側面をカバーし、適合の推定を与えます。カバーする必須要求事項や前提条件が合致していれば、適合といえる技術仕様や試験仕様が、規格書に書いてあります。
- 対価は必要だが早くて確実。
- すべて自分で調べることに比べ、トータルコストを抑える。
- 専門家の知見によりリスクを抑える。
何事も一朝一夕にはいかないでしょう、今日はおいしいごはん食べて寝ましょう。CEマーキングは何かひとつでどうこうなるものではなく、メーカーとしての活動の中心に据えるべき取り組みです。積み重ねが大事です。
そうはいっても目先のCE適合を急がれる場合 ➡ ご連絡ください。いち早く市場に出すことも大事です。
CEマーキングや規格は、無理・無茶な要求からメーカーの立場を護るものでもあります。
2026-01-23
