CEマーキングの維持・管理
CEマーキングでは、適合宣言した製品について、欧州に上市し続ける限り適合性を維持し続けなければなりません。また、製品の上市を終息しても、その後10年間は、適合宣言書と技術文書を維持しなければなりません。
長い年月の間に、指令や規格の改定、部品の生産終息に伴う設計変更、姉妹品のリリースなど、適切な変更管理を必要とすることが発生します。
差し迫った危険があると判明した場合を除いて、すでに上市した過去の製品に遡って対応する必要は基本的にありません。
指令・規格の改定
長い年月の間には、製品が該当している指令が改定されることがあります。また、用いた整合規格は、たいてい5年~10年で改定されます。
これを放置しておくと、適合しているものとして上市している製品の適合が失われる場合があります。指令・規格の改定動向はウオッチしておく必要があります。毎日のように確認する必要はありません。概ね年に数回から月に1度程度確認しておけば十分に確認できるでしょう。
欧州委員会のホームページの各指令のページで、更新された情報を確認できます。整合規格の一覧表には、”NEW”と赤字で表示されているのでわかりやすいでしょう。(参考:【 整合規格の更新を知るには 】)
もし製品に関連する指令、整合規格が改定されたら、その改定内容を確認し、適合性を維持するべく、適切な対応をとることが必要になります。実際的に特に対応する必要がない改定内容であると判断できたとしても、少なくとも、指令や規格の参照番号を記載している関連文書は更新しなければなりません。
またそのように判断したアセスメントの内容を技術文書に含める必要があります。
すでに上市済の過去の製品にまで遡って対応する必要は、基本的にはありません。遡及対応を要求するような指令は、この先制定されないと断言することはできませんが、まずありえないでしょう。(重大なリスクが判明した場合を除く。)
部品の生産終息
長い年月の間には、適合宣言している製品に用いている部品の生産が終息し、設計変更を余儀なくされる場合も考えられます。
部品変更・設計変更に伴い、適合性の再確認を実施し、関連文書は適切に更新しなければなりません。
全て一から再確認する必要はありません。変更に関連し、リスクアセスメントの内容に変更が生ずる、評価レポートの内容に変更が生ずる、変更前の評価・試験結果が無効になるなど検討し、必要な対応をとり、関連文書を適切に更新してください。
上述について適切に対応するには、リスクアセスメント、規格の要求事項、試験の意味内容を正しく理解している必要があります。コンサルタントに相談するのもよいでしょう。
姉妹品のリリース、オプション追加
すでに適合宣言している製品の姉妹品をリリース、製品ファミリーに追加、新たなオプションを追加する場合など、一から評価・試験し直す必要はありません。適合宣言済の製品との差分を考慮し、同様と考えられる場合は関連する事項についての評価・試験は割愛することができます。もちろん、敢えて評価・試験をしても(費用・時間はかかりますがあれこれ考えるよりその方が早い場合がある)差し支えありません。
適合済モデルとの差分対比、評価・試験をする/しないを決定するためには、アセスメントを実施し、その内容を技術文書に含めなければなりません。
すでに完成している技術文書に追記するか、新たに技術文書を書き起こすかは、どちらでも構いません。いずれにしても全体を把握できるようにしておかなければ、文書更新が漏れたりと、変更管理が難しくなります。その意味では"製品ファミリー"をうまく定義して、ファミリー毎に技術文書をまとめておくことをお勧めします。
不適合の対応
市場に出した製品が指令に適合しないと考えるメーカーは、それが適切な場合に、直ちに製品を適合、撤回、リコールに必要な是正処置を行います。さらに、製品がリスクを呈する場合、メーカーは、その製品を市場に出したEU加盟国の管轄当局に対して、その影響、詳細、特に不適合の内容とすでに実施した是正処置について、直ちに通知します。
以上は、CEマーキングの指令に定められている内容であり、遅滞なく対応しなければなりません。対顧客への対応は別問題です。
2019-03-27
TOPIX
- 適合を宣言して終わり、ではない。
- 監査当局からの問い合わせに適切に対応できなければならない。
- 適合性は適切に維持されなければならない。
- 指令や規格の改定をウオッチしていく必要がある。
- 一から再評価する必要はない。
CEマーキング
おことわり
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