IP等級

IP等級とは

IP等級 (Internatoinal Protection)は、IPコード (IP code) とも表記され、筐体による保護の度合いです。

1)筐体の開口寸法と手・指・工具・針金が危険部に届くかどうか
2)筐体の隙間から水や粉じんが侵入するかどうか

の等級を定めています。

IP等級を定義している規格

IEC 60529 Degrees of protection provided by enclosures (IP code)
電気機器具の外郭による保護等級(IPコード) 《 JIS C 0920 》

この規格は、等級を定めているだけです。IP等級がいくらならよいのか、どのような状態、構成、どのようなリスクで、どのIP等級を要求するのか、それぞれ個別の製品規格が定めるものであって、この規格では扱わないと記載されています。個別の製品規格には、独自の保護構造を定めているものもあれば、IP等級を指定しているものもあります。

IP等級は、筐体内の危険部分(電気とは限らない)に手・指・工具・針金が届くかどうか、例えば、個別の製品規格に、”IP2X以上でなければならない” などど要求されています。配電盤、制御盤の筐体等は、仕様カタログにIP等級が記載されているものがたくさんあります。

また、筐体内に、水、粉じんが侵入することについては、汚染度に関連します。水、粉じん等による汚染は、絶縁を損なう、劣化させる要因として、空間距離・沿面距離を決定する要因の一つとなっています。

これは、汚染度が高い環境、例えば蒸気が漂う環境であっても、高度なIP等級でその侵入を防いでいれば、筐体内の汚染度は高くならないとみなし、汚染度の度合いを下げて空間距離・沿面距離を短くできる、という考え方です。

もちろんIP等級を達成している構成物の劣化や、単なる閉め忘れが起こりうることも含めて、IP等級が減級・無効になるようであれば、ワーストケースでの汚染度、空間距離・沿面距離を考慮しなくてはなりません。

IP等級の表記

IP68、IP2X、などど表記されます。書式は、
IP [第1特性文字] [第2特性文字] [付加文字] [補助文字]
となっています。

第1特性文字は、0-6までの数字、またはXで表されます。
第1特性文字は、危険な箇所への接近に対する保護等級と、外来固形物に対する保護等級の両方を表します。規格書では、別々の表になっていますが、ここでは一つの表にまとめました。

Xは、製品にその等級を規定する必要がない場合、数字を省略して代わりにXを表記するものです。

第2特性文字は、水に対する保護等級を表します。イヤホンやスマートホンなどはIPX4のものが多いようです。少しくらい水がかかっても大丈夫だけれど、水没には耐えられないのが、このIPX4です。

付加文字は、危険な箇所への近接に対する保護等級を表します。『・・・作業者が触れる恐れのある個所は、IP2XまたはIPXXB以上で保護する。(IEC 60204-1)』等と記載されています。

補助文字は、H、M、S、W 、その他それぞれ定義されており、いずれもこれらに言及する個別製品規格の内容を確認する必要があります。

IP等級の一覧表

 

第1特性文字
要約定義
0無保護
1こぶし(拳)が危険な箇所へ接近しないように保護している直径 50 mm の近接プローブで試験したとき,危険な箇所との間に適正な空間距離を確保している
直径 50 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している直径 50 mm の球状の,固形物プローブの全体が侵入(注1)してはならない。
2指での危険な箇所への接近に対して保護している直径 12 mm、長さ 80 mm の関節付きテストフィンガの先端と危険な箇所との間に適正な空間距離を確保している
直径 12.5 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している直径 12.5 mm の球状の,固形物プローブの全体が侵入(注1)してはならない
3工具での危険な箇所への接近に対して保護している直径 2.5 mm の近接プローブが侵入してはならない
直径 2.5 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している直径 2.5 mm の固形物プローブが全く侵入(注1)してはならない
4針金での危険な箇所への接近に対して保護している直径 1.0 mm の近接プローブが侵入してはならない
直径 1.0 mm 以上の大きさの外来固形物に対して保護している直径 1.0 mm の固形物プローブが全く侵入(注1)してはならない
5針金での危険な箇所への接近に対して保護している直径 1.0 mm の近接プローブが侵入してはならない
防じん形じんあいの侵入を完に防止することはで きないが,電気機器の所定の動作及び安全性を阻害する量のじんあいの侵入があってはならない
6針金での危険な箇所への接近に対して保護している直径 1.0 mm の近接プローブが侵入してはならない
耐じん形じんあいの侵入があってはならない
備考
第一特性数字が 3,4,5 及び 6 の場合,適正な空間距離を確保していれば,危険な箇所への接近に対して保護しているものとして取り扱う。適正な空間距離は,(項12.3 によって)適切な個別製品規格で指定することが望まれる。
(外来固形物の侵入) の規定との整合を図るため,“侵入してはならない  (shall not penetrate)”という定義とした。
(注1) 外郭の開口部を,固形物プローブの全直径部分が通過してはならない。
第2特性文字
要約定義
0無保護
1鉛直に落下する水滴に対して保護する
鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない
215度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する 直に対して両側 15 度以内で傾斜したとき,鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない
3散水 (spraying water) に対して保護する鉛直から両側に 60 度までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない
4水の飛まつ (splashing water) に対して保護する
あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害な影響を及ぼしてはならない
5噴流 (water jet) に対して保護する
あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない
6暴噴流 (powerfull jet) に対して保護するあらゆる方向からのノズルによる強力なェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない
7水に浸しても影響がないように保護する規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない
8潜水状態での使用に対して保護する関係者間で取り決めた数字 7 より厳しい条件下で外郭を継続的に水中に沈めたとき,有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならい
付加文字
要約定義
Aこぶし(拳)による接近に対して保護する直径 50 mm の近接プローブは,危険な箇所との間に適正な空間距離を確保しなければならない
B指による接近に対して保護する直径 12 mm,長さ 80 mm の関節付きテストフィンガは,危険な箇所との間に適正な空間距離を確保しなければならない
C工具による接近に対して保護する直径 2.5 mm,長さ 100 mm の近接プローブは,危険な箇所との間に適正な空間距離を確保しなければならない
D針金による接近に対して保護する直径 1.0 mm,長さ 100 mm の近接プローブは,危険な箇所との間に適正な空間距離を確保しなければならない
補助文字
適用
H高圧機器
M
回転機のロータなどのような電気機器の可動部分を動作させた状態において,水の浸入による有害な影響について試験したもの
S回転機のロータなどのような電気機器の可動部分を停止させた状態において,水の浸入による有害な影響について試験したもの
W所定の気象条件のもとでの使用が可能であり,付加的な保護構造又は処理を施したもの

 

IP等級の注意点

拳の接近に対する保護としてΦ50 ㎜という寸法ですから、小さな子供の手については、この規格では想定していないことがわかります。

小動物や昆虫、カビ、結露、腐食、等々については、各個別規格で規定する事項であるとし、この規格では言及されません。

指令の安全要求事項、安全目標を達成するためには、必要に応じてこれらについても適切に、リスクアセスメントを実施、もしくはこれらについて規定された整合規格による評価を実施し、危険の無い製品にするべきです。

屋外に設置する機器はもとより、家庭内で使用する機器については、ペットの糞尿などにも留意するべきです。

IP2X figureIP2X figure test finger

IP2Xは、直径12.5㎜の球が入らないこととテストフィンガーが届かないことの両方を満たしていなければなりません。

IPXXB figure test finger
(関節と爪の向きは実際とは異なります。あくまで模式図です。)

IPXXBは、テストフィンガーとの間に適切な空間距離が確保されていることです。上図は、拳が接近できないので IP1XBとすることもできます。


2017-05-25

TOPIX

  • 筐体の内部に手指や異物が入らないようにする保護構造の分類分け、等級である
  • 絶縁距離の決定要因である汚染度に関連する

おことわり

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